本記事は参考となる情報提供のみを目的としたものです。実際の申告などにつきましては読者の判断と自己責任でお願いいたします。
会計処理をする上で、ちゃんと理解せずに使っている「勘定科目」。先輩ライターから「とりあえず費用の相手科目は事業主借勘定にしてしまえば楽だよ」と聞いたのですが、これって何か問題があるのでしょうか? 教えて、木村先生!
――「事業の財布と個人の財布の2つを持て」とは言われていますが、やっぱり面倒くさくて……。個人の財布から事業用の小物を購入して、相手科目を事業主勘定として処理しているのですが、これってやらないほうがいいのでしょうか?
木村先生: 宮田さんはフリーランスのライターですよね。もしも飲食店や物販など実際にご商売で現金を扱っている場合ならアウトですが、1カ月に10〜20程度の取引明細しか登録しないのならば事業主勘定を使っても問題はないでしょう。
――そうですか。ホッとしました。
木村先生: 例えば、水道光熱費を個人の現金で払った場合は、
水道光熱費 1000円/事業主借 1000円
という仕訳を推奨する税理士もいますよ。複式簿記としては正しい処理ですが、落とし穴もあります。
――落とし穴ですか?
木村先生: 例えば、事業の現金や預金を通さずに事業主借で処理すると、1つの費用に対して二重に計上してしまうリスクがあります。ちゃんと現金や預金を通して費用に計上すれば、残高確認をすることでダブリのチェックがしやすいのですよ。だから、出金取引については「請求書からは入力しない」「必ず領収証をもらい、それを基に入力する」「入力した領収書には済マークをつける」など二重計上を防ぐルールを工夫するようにしましょう。
――なるほど。
木村先生: 事業主借で出金取引処理した場合に便利なのは、現金の赤残(あかざん)を気にする必要がないってことね。
――赤残って何ですか?
木村先生: 残高が赤字になっていることですよ。そもそも資産勘定である現金がマイナスになることはあり得ません。もしも「○○費 ×××円 /現金 ×××円」と処理していって現金が赤残になっているならば、それは事業主が立て替えているということ。青色決算書が現金赤残のままだと、「お、素人が作ったな」と税務署に目をつけられるかも!?
――確かに事業主借相手に会計処理をしていれば、帳簿上の現金残高を気にする必要はないですね。
木村先生: ですから逆に現金勘定で費用処理をしている人は、残高が合っているか、残高がゼロを切っていないか、入力する都度確認しましょう。
――木村先生、ありがとうございました!
2000年に木村税務会計事務所を設立。ブロガー税理士の草分け的存在。セミナー講師や執筆について多数の実績があり。カフェ好きが高じてオフィスをカフェ風にしてしまったほど。ブログでは税金に関するトピックだけでなく、カフェラリーのデータも掲載中。
事務所名:木村税務会計事務所
住所:〒158-0097 東京都世田谷区用賀2-11-10 ケヤキアパートメント201
公式サイト:KIMUTAX.com
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