本記事は参考となる情報提供のみを目的としたものです。実際の申告などにつきましては読者の判断と自己責任でお願いいたします。
確定申告のために印刷した青色申告決算書。「その他経費」の額がふくれ上がっているのを見て心配になりました。もしかしたら税務署からチェックが入ってしまうのでしょうか。教えて、木村先生!
――先生、実は「その他経費」が気になっているのです。何か項目を作って分けるべきなのでしょうか?
木村先生: いいところに目を付けましたね。でも、その前に大原則から説明しましょう。私は、基本的に最初のうちは「勘定科目はむやみやたらに増やさない」ことをお勧めしています。まずは会計ソフトに標準で設定されている勘定科目をそのまま使うことからスタートしましょう。なぜなら、勘定科目大系はシンプルであるべきだからです。そのほうが処理するのに楽ちんで、面倒になりません。
――なるほど。
木村先生: そして「勘定科目マニュアルを作るべし」。例えば「会議費は『1人5000円以下の飲食でアルコールを伴わない打ち合わせ』に使う」「接待費は会議費にならない飲食や贈答品、慶弔費に使う」といった科目の説明の表を作っておき、迷ったらそれを確認して入力することをオススメします。
――先生、そろそろ取材で使った経費の推移を見たいと思い始めています。でも、取材に使った飛行機代や宿泊費って、旅費交通費や会議費であり、かつ取材費ですよね。どの科目に入れればいいのでしょうか?
木村先生: すばらしい! 成長しましたね。例えば「取材費」という勘定科目を新たに作って、取材にかかった旅費交通費、宿泊費、現地での会議費などの費用を1つの勘定科目にまとめることは自由なんですよ。
勘定科目は増やさない方がいいといいましたが、確定申告のため以外に「自分の事業を分析したい」「どこに費用の無駄があるのかを確認したい」ということであれば、新しい勘定科目を作りましょう。
例えば、喫茶店などでレッスンをする英会話の先生っていますよね。その人はレッスンにかかる飲食代を「会議費」として計上していましたが、喫茶店で税理士と打ち合わせをしても「会議費」。でも性質が異なるので分けて管理したいと考えました。そこでその英会話の先生は「レッスン場所代」という科目を作りました。
だいたい事業を続けて2〜3年も経つと「あの費用がどれくらいかかっているのか分析するために勘定科目を分けたい」と思うようになります。そのタイミングで勘定科目を増やすといいでしょうね。
――では、青色申告決算書も「その他経費」ではなく、項目を増やすべきですか?
木村先生: その通りです! 青色申告決算書をよく見ると、何行か空行があります。それは自分で作った勘定科目を入れる場所。「その他経費」に何でもかんでも集約するのではなく、空行に「取材費」など細かく科目を入れることで「私はどんぶり勘定で会計処理をしていません」というアピールにもなるわ。
――さっそく勘定科目を追加してみます!
木村先生: それからもう1つ。アピールという意味では「雑費」の扱いが重要です。雑費は可能な限りゼロにすべき科目。ワンランク上の会計処理を目指すならなるべく「雑費使用禁止」を己に科すべきね。何でも雑費にしないためにも、科目のルールを勘定科目マニュアルにちゃんと書いておきましょう。
――木村先生、ありがとうございました!
2000年に木村税務会計事務所を設立。ブロガー税理士の草分け的存在。セミナー講師や執筆について多数の実績があり。カフェ好きが高じてオフィスをカフェ風にしてしまったほど。ブログでは税金に関するトピックだけでなく、カフェラリーのデータも掲載中。
事務所名:木村税務会計事務所
住所:〒158-0097 東京都世田谷区用賀2-11-10 ケヤキアパートメント201
公式サイト:KIMUTAX.com
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