(1)トータルで考える:
いきなり何!? と思われる人も多いと思うが、実は大事なポイントである。多くの人は、部分的な節約やもうけを考えがちだが、家計トータル、年間トータル、人生トータルで捉え、その中で帳尻が合えばよいのである。その大きな視点がなく、ある部分だけ必死に節約しても、ストレスがたまるだけで焼け石に水のことが多い。何より長続きしない。大事なのはメリハリで、そのための「全体観」は重要なのである。
さらに、この全体観は新たな思考を生む。1つ例を挙げてみよう。例えば、同じインカムの2人の女性がいたとする。今年、40歳を迎え、ともに管理職についたA子さんとB子さんである。彼女らの手取りは32万円。そこから、家賃、食費、光熱費、衣料、雑貨、趣味などでいろいろお金がかかるわけで、それらを合計すると2人とも35万円で3万円の赤字となった。
ここまでは全く同じである。しかし、この先、2人のとった行動は違っていたのである。A子さんは3万円の赤字を何とかしようと節約に励み、食費と遊興費を減らして危機を乗り切った。ところが、B子さんは、無駄を見直し1万円ほど節約したものの、後は投資商品や保険、ローン、カードの見直し&乗り換えなどで、月2万円を新たに生み出すことに成功したのである。それも、この月2万円の利益は、一過性ではなく、今後長らく続いていく。年にして24万円! これは大きい。
つまり、A子さんは足りない3万円を節約だけで乗り切ろうとし、B子さんは節約&増やし、さらに今後のことも同時に考えトータルで問題解決したのである。ここまでうまく行くかどうかは別として、この2人の発想の違い、お金の捉え方&向き合い方の違いが重要なのである。
最近では、資産管理や家計サポートのためのデジタルツールが数多く登場している。家計簿アプリで有名な「マネーフォワード」などはその代表例だが、日常の買い物だけでなく、貯蓄や運用資産、保険、ポイントなどすべての情報が一括管理できてリアルタイムに変化する。実に驚くべき機能である。ここでの新たな発見というか意識の変革は、「トータルで管理することによって見えてくる新たなお金との向き合い方」である。全体観の中で、家計や資産形成の「自分がとるべき戦略」が自ずと見えてくる。
今や、ITデジタルの進化によって誰もが気軽にお金のセンスを磨ける、つまり、お金美人になれる環境が整ってきたと言えるだろう。
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