(2)ものさしを変える:
その買い物がどのくらいの出費なのか?どのくらいの家計負担なのか? そして無駄なのか? 実はリアルに認識できていない場合が多い。よく大きさを表すときに「東京ドーム3個分」といった“置き換え”の表現を使うことが多いが、同じように、パチンコで5万〜6万円損した時、「インスタントラーメン1000個分の損」というほうが迫力があったりする。こういうメタファー的な置き換えがすぐにできる人は無駄遣いにブレーキをかけられるお金のセンスの持ち主だ。
以前、住信SBIネット銀行の交通広告『え〜、このATM手数料で肉まん1個買えたじゃーん。』があったが、これも同じで普段ATMの手数料などそれほど気にならなかった人も、その金額で実は肉まんが買えるという事実を知ると急にもったいなくなる。この心理を突いてこの銀行は手数料が24時間無料であることのありがたさをより鮮明に打ち出したのである。この価値の置き換えは、一時ブームとなった「断捨離」でもよく使われていた。
例えば、モノを捨てられないで部屋が狭くなっている人に対し、「あなたが5年前に買ってあまり使わなくなったマッサージチェア、そのスペース代、なんと100万円ですよ!」これは、かなりショッキングな数字である。確かに、都心の分譲マンションで60平米で5000万円だとすると、大きめのマッサージチェアが占めるスペースはそれくらいになる。使わないモノの場所代に100万円かけているのと同じである。なんと無駄なことか!
そう考えると、できるだけ無用のモノは捨てて、きちんと空間を確保してシンプルで素敵な生活を送ったほうがどれだけ有意義だろう。そう考えられる女性がまさにお金美人なのかもしれない。そして、さらに彼女たちは「節約」をも前向きに置き換えられるのだ。みなさんはこの言葉をご存じだろうか? “A penny saved is a penny earned.”(一ペニーの節約は、一ペニーの稼ぎ)という有名な英語のことわざである。
文字通り、1万円節約するということは、1万円稼いだことと全く同じという、いわば逆転の発想である。よく考えれば当たり前、しかし、一度この視点を持つと、節約がより生産的で前向きなものに変わるのだ。「節約に励むこと=一生懸命に稼ぐこと」ということで、節約が言わば“攻め”の戦略になる。
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