ホークスの日本一に貢献した球団現場の“草の根活動”とは?プロ野球チームの業務改革(2/4 ページ)

» 2015年04月16日 08時00分 公開
[伏見学ITmedia]

コミュニケーションの壁

 ソフトバンクによる球団買収以降、ホークスは球団へのシステム投資も積極的に行ってきた。しかし、スコアラーやスカウトなどの現場では導入したシステムがほとんど使われていない状態だったという。主な原因は、システムを提供する側と利用する側のコミュニケーションエラーである。

球団統括本部 データ分析担当ディレクターの関本塁氏 球団統括本部 データ分析担当ディレクターの関本塁氏

 提供者がいくらシステムの機能などを説明しても、利用者は要領を得ない。一方で、利用者から要望を出しても、提供者はそもそもの業務フローや運用ルールが分からないため、適切なシステムを提案できないという事態に陥る。共通言語がなく、お互い並行線のままシステム導入が難航していたケースが目立ったという。たとえ導入したとしても、それは現場業務とはそぐわない形のものが多く、結果的に利用が進まなかったようだ。

 実際、プロ野球の球団が使うシステムは、それほど規模は大きくない。例えば、3000人の営業担当が使ったり、数万人の顧客データを管理したりといった大企業が活用するような巨大かつ複雑なシステムではないので、仕様さえ決まれば導入はスムーズに運びやすい。

 ただし、大きく異なるのは、汎用的なビジネスで使われているような業務システムは球団の仕事には当てはまらないということだ。スコアラーやスカウトの業務を深く理解して、誰でも簡単に操作できる分かりやすいユーザーインタフェース(UI)を持ったシステムでなくてはならないのである。そこで両者の間に入って双方のブリッジとなる繋ぎ役が大切で、関本氏がそれを担っているのである。

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