こうした球団内での草の根的な取り組みが実を結び、スコアデータの入力などシステムの利活用が進んできたという。そこで蓄積された多種多様なデータを分析し、監督やコーチなど現場にフィードバックする。このサイクルを繰り返すことでデータの精度を高めていった。
この取り組みが成果として現れたのが、昨年の日本一である。野球をはじめスポーツでのデータ活用は今や当たり前になっているが、あくまで最後は選手のパフォーマンス次第。例えば、相手ピッチャーが次にどんな球を投げてくるか、球速や球種、コースまで完璧に正確なデータがあったとしても、バッターが必ず打てるとは限らない。
だからといってデータが無意味かというと決してそうではない。ホークスの場合、システム活用が進んだことで扱うデータ量や種類が増大し、より多角的な切り口での分析が可能になった。その結果、分析の精度が高まり、今まで以上に分かりやすく、よりポイントを絞って選手にアドバイスできるようになったという。その積み重ねが選手のパフォーマンスアップにも寄与したのではないかと考えている。
「現場での活用が進み、システムの質も上がったことで、データを今までの数倍も集められるようになった。一方で、選手に伝えるデータは1つか2つとシンプル。ただし、そのデータの濃度は年々高くなっているのだ」(関本氏)
2015年3月27日、セ、パ両リーグともに今シーズンが開幕した。ディフェンディングチャンピオンのホークスは追われる立場として、他球団からのマークがより厳しくなることは間違いない。それを球団が一丸となってどうはね退けるか。「世界一のビッグクラブ」に向けてますます真価が問われる1年となりそうだ。
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