「世紀の一戦」に勝利したメイウェザーの、知られざる“素顔”赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2015年05月04日 08時50分 公開
[臼北信行ITmedia]

メイウェザーが本当に欲しい物

 しかしながらボクシング界では、そんな悪童をどういうワケか擁護(ようご)する声も少なくはない。メイウェザーと契約を交わしている米ケーブルテレビ局「ショウタイム」の関係者(一昨年夏に同局で放送されたメイウェザーのドキュメンタリー番組制作にも関わった人物)は「匿名」を条件として次のように赤裸々に打ち明けた。

 「素顔のメイウェザーは大変に臆病で寂しがり屋。だから、例えばそれまで自分の理解者だった人間と揉め事を起こすと“自分から離れていってしまうのではないか”“どうしてオレのことを分かってくれないんだ”などと不安感にさいなまれて、つい手を出してしまう。それが証拠にこれまで起こした警察沙汰の事件やトラブルはその大半が、いわゆる内縁の妻との“オンナ絡み”が原因となっている。こういう彼の性格を作り上げたのは荒れていた少年期時代がもとになっているのは言うまでもないが、スーパースターになっていくにつれて巨額の金が自分の懐に舞い込んできたことも大きく関係しているだろう」

 2012年、2014年と『フォーブス』誌が選ぶ世界のスポーツ選手長者番付で1位に輝くなど大金を稼ぐスーパースターにはなったが、高給取りであることや派手な生活ぶりを自慢したり、鼻につくような言動を繰り返したりするため、メディアからは嫌味をこめた「マネー(カネの亡者)」という不名誉な呼称まで名付けられた。

 だが前出のショウタイム関係者は「メイウェザーが本当に欲しい物はマネーではなく本当に信頼できる人物であり、愛すべきファミリーなのだ」という。ひたすらボクシングに打ち込んで勝利をもぎ取り続けた結果、人もうらやむような「地位」と「名誉」、そして「大金」を得ることはできた。ところが、それらが余りにも破格なレベルであったがゆえに自身でもコントロールできなくなって、プライベートもズタズタにしてしまった。

 さらには既得権益を欲する人物たちが、有名になればなるほど周囲に寄り添ってくる。そして仲違いを起こし、離れていく――。「メイウェザー本人も、そういう生活に心底疲れてきたようだ。私は彼の人生は“ヒット・アンド・アウェイ”にちなんだ“ヒット・アンド・アウェイ・フォーエバー”だと思っている。『トラブル』という名の『パンチ』を打って、その相手は永遠に距離を置いて離れていってしまう。そこにメイウェザーもやっと気付いたのかもしれない」と前出の関係者は締めくくった。

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