「世紀の一戦」に勝利したメイウェザーの、知られざる“素顔”赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)

» 2015年05月04日 08時50分 公開
[臼北信行ITmedia]

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


5月2日(日本時間同3日)、ボクシングのWBC、WBA、WBOの3団体統一世界ウエルター級タイトルマッチが行われた

 世紀のスーパーファイトに興奮した人は多かったはずだ。全世界が注目したプロボクシングのWBC・WBA・WBOの3団体統一世界ウェルター級タイトルマッチが5月2日(日本時間同3日)、米国ネバダ州ラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで開催され、WBC・WBAスーパー世界同級王者のフロイド・メイウェザー(米国)が、3-0の判定でWBO世界同級王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)に勝利をおさめた。

 両雄のファイトマネーが330億円以上とも言われたメガバトル。果たして拳を交えたスーパースター2人には、どんなバックグラウンドがあったのか。パッキャオは言わずと知れた「アジアの英雄」だ。フィリピンの貧しい農家で生まれ育ち、自らの拳だけを頼りに異国の地で運命を切り開き、次々と番狂わせの大物食いを連発させてスターダムへとのし上がったことから名付けられた別のニックネームは「パックマン」。史上2人目となる6階級制覇(フライ、スーパーバンタム、スーパーフェザー、ライト、ウェルター)を成し遂げ、母国だけでなく米国でも絶大な人気を誇り「将来はフィリピンの大統領になる」ともささやかれている。

 余談ではあるが、実を言うと筆者は1998年の5月18日に東京・後楽園ホールで行われた無名時代のパッキャオのフライ級ノンタイトル戦を取材したことがある。メインイベントで組まれた一戦で当時日本ランカーだった寺尾新から3度のダウンを奪い、1ラウンドKOで下した姿を見て「とんでもない化け物」という印象を持った記憶があるが、まさかここまでの存在になるとは想像もできなかった。

 一方のメイウェザーは父が元世界ランカー、叔父が元世界2階級王者というプロボクサーファミリーに生まれ、幼少のころからボクシングの手ほどきを受けていた。しかし実際のプライベートでは両親とも薬物に手を染めてしまうなど生活は荒廃しており、貧しい地域に住んでいたこともあって「逮捕されなかったのが不思議なぐらいに素行が悪かった」(メイウェザー)という。

 それでもボクサーになるという志は捨てず、1999年のアトランタ五輪でボクシングフェザー級の銅メダルを獲得。プロ転向後もその才能をいかんなく発揮し、史上初めて47戦無敗のまま5階級(スーパーフェザー、ライト、スーパーライト、ウェルター、スーパーウェルター)を制して成り上がった「天才」だ。

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