化粧品メーカーには真似できないアイスタイル独自のデータ戦略ポーター賞企業に学ぶ、ライバルに差をつける競争戦略(2/5 ページ)

» 2015年05月21日 08時00分 公開
[伏見学ITmedia]

大薗: 商品情報については、メーカーから提供されています。この点についてはいかがでしょう。

吉松: メーカーの担当者にはそのままストレートに伝えてもらうことに価値があるのでないかと考えています。ユーザーもメーカーも情報はなるべくダイレクトに出し合って、最終的にそれらの情報を見る人が判断する環境を作ることが大事です。

 基本的に情報はニックネームでやり取りされていて、特定の個人がフィーチャーされない仕組みを作っています。要するにメディアを作ろうとしていないわけです。メディアの場合、キーになる人が情報を発信して周囲を引っ張っていきますが、いずれ飽きられてしまえば、サービスは普遍的な基盤にはなりません。アイスタイルはムーブメントを作りたいのではなく、POSデータのような普遍的な仕組みを作りたいと考えていたので、なるべく人に焦点を当てないようにしています。

 創業時に描いたのが、卸や小売といったサプライチェーン全体の最後にユーザーがいて、ユーザーが購買履歴などの情報を、ネットを使って能動的に上げていく仕組みです。それをやるには口コミサイトが最適だという判断になりました。

 当時、口コミサイトはほとんどなかったので、特に参考としたサービスはありませんが、プラネットという会社のビジネスモデルには影響を受けました。同社はライオンや資生堂、ユニ・チャームなどが出資した業界VAN(Value Added Network:付加価値通信網)の会社で、メーカーや卸の受発注システムなどのデータ交換を標準化する仕組みを構築しました。競合企業同士が乗り合って会社を作り、共通のプラットフォームを使う。競争はあくまで商品という発想に感銘を受けました。

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