ライザップを急成長させた「ちょびっとしんけん」とは何か?スピン経済の歩き方(4/4 ページ)

» 2015年06月16日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]
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「医薬品事業」をスタートする予定

 ビジネス誌などでは、ライザップをフィットネス業界の常識を打ち破った「脅威の低コスト経営」なんて紹介しているが、それは彼らを「フィットネス産業」と見ているからであって、「通販ビジネス」と考えるとさして驚くような話ではない。

 通販は店舗をもたない、配送は宅急便、コールセンターも外注する。「固定費」というコストをいかに低くおさえて、他の店にはない稀少性の高い商品をダイレクトに顧客に送りつける。この商品がライザップでいえば、独自の食事制限メソッドだ。これをダイレクトに会員に売るだけなので、広大なスペースもいらないしマシンもいらない。トレーナーが時給900円のパートタイマーでいいというのも、メソッドの“デリバリー役”に過ぎないからだ。

 プライベートジムに「儲美頭信健」と「通販」のメソッドを持ち込むという発想に関心をしてしまう一方で気になるところもある。新潮社への猛抗議をする1週間ほど前、健康コーポレーションは「医薬品事業」をスタートすると発表したのだ。予定では今年8月には医薬品の販売を開始するという。

 医薬品というのはあまりに露骨に「結果」をうたうと、薬事法にひっかかるし、誇大広告という問題もある。つまり、健康コーポレーションの“得意技”が封印されてしまうわけだ。にもかかわらず進出をするというのはよほどの勝算があるのか。「儲美頭信健」が「医」の世界でどこまで通用するのか注目したい。

健康コーポレーションは「医薬品事業」をスタートすると発表した(写真と本文は関係ありません)
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