PASMO/Suica+無人駐車場の可能性は? :神尾寿の時事日想:
料金を現金で支払うケースがほとんどの時間貸駐車場。キャッシュレス決済の導入と、それに連携するサービスの高度化に熱心なのが「タイムズ」を展開するパーク24だ。
8月8日、時間貸駐車場をチェーン展開するパーク24が、東武沿線にある「タイムズ」において、鉄道系FeliCa決済「PASMO電子マネー」を導入することを表明した(8月9日の記事参照)。詳しくはニュース記事に譲るが、今回の取り組みの第1弾として、8月23日から東武東上線志木駅付近の「タイムズ新座志木」が最初にPASMOに対応。その後、順次PASMO対応のタイムズを拡大し、年内に5カ所程度に設置をするという。
本誌でも度々取り上げているが、パーク24はコインパーキングのサービス高度化に以前から力を入れている(参照記事1/記事2)。
同社は他社に先駆けて駐車場オンライン管理システム「TONIC (Times Online Network & Infomation Center)」を導入。駐車場のネットワーク管理や満車空車情報の取得のほか、クレジットカードへの対応や自社ポイントサービスの導入に力を入れてきた。2004年5月にはコインパーキング事業者として初めてFeliCa決済に対応し、ドコモと共同でおサイフケータイ活用の携帯電話決済実験を実施。その後、2005年11月からは一部のJR駅近隣駐車場でSuica決済に対応した(2005年11月の記事参照)。
FeliCa決済と連携した付加サービスの取り組みにも熱心であり、今年6月にはSuicaポイントに対応、7月にはOASAKA PiTaPaと連携した「パーク&ライド」サービスの実証実験も開始している(7月3日の記事参照)。
サービス高度化の可能性が大きいコインパーキング市場
コインパーキング市場全体を俯瞰すると、道交法改正の影響もあって、引き続きこの分野は成長基調にある。富士経済がまとめた市場レポートによると、2006年のコインパーキング市場は2005年から9%拡大して1915億円。同社の予測によると、2009年には2750億円(06年比44%増)まで拡大するという。国内の新車販売市場は冷え込んでいるが、軽自動車や中古車市場は堅調で、“走るクルマ”そのものが減っているわけではない。都市部を中心に駐車場需要は依然として供給量を上回っているため、今後も市場拡大は続く模様だ。
一方で、コインパーキング業界は、トップシェアのパーク24の獲得シェアでも5%程度しかない。事業者の集約によるサービスの大規模化や均一化が発展途上にある。小規模・零細のコインパーキングの中には、貨幣しか使えず、領収書も発行されないサービスレベルの貧弱なところもある。満車空車情報の提供や、クレジットカードや各種FeliCa決済対応で、サービスの高度化と利便性向上を行う余地は大いにあるのだ。先述の富士経済の予測によると、サービス高度化による駐車場管理システムの市場規模は約725億円に上るという。
また将来的には、パーク24がすでに手がけているように、鉄道や航空など公共交通と駐車場が連携するシナリオは十分に考えられる。特に鉄道・航空ではFeliCaを利用した乗車券・決済やチケットサービスが急速に広がっており、コインパーキング側でのFeliCa決済対応により、連携サービスが作りやすい土壌ができてきている。
人の移動は、1つの交通手段で完結するとは限らない。都市部を中心にみれば、今後のトレンドは“クルマと公共交通の連携”になるだろう。その中で、駐車場の高度化、特にFeliCa対応が果たす役割と将来的な可能性は大きい。
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