金利2%のキャンペーン定期も――イオン銀行、今日開業
総合小売り大手イオンが運営する「イオン銀行」の有人店舗がオープン、本格的に開業した。金利の高い定期預金を目玉商品にし、ショッピングセンターへの来客を取り込んで口座獲得を目指す。
イオン銀行は10月29日、ジャスコ品川シーサイド(東京都)とイオン津田沼ショッピングセンター(千葉県)に有人店舗を開設した。10月20日より受け付けていた口座開設に続き、本格的にイオン銀行が稼働したことになる。
また29日、関東・中京・関西を中心とする276店に設置したATM460台が稼働を開始した。メガバンク6行、ゆうちょ銀行、証券会社2社を含む金融機関60社とATMを提携する。特に三菱東京UFJ銀行との間は、相互に時間内引出手数料を無料とする※。
ショッピングセンターの顧客に金融商品を提供
開業から2年は、首都圏、中部、近畿エリアのショッピングセンター(以下SC)を中心に出店し、SCへの来店客を取り込む方針だ。「SCに来たお客様に金融のサービスを提供する、というのが基本姿勢。逆に(SCがあまり出店していない)都心部では、銀行が呼び水になってSCにお客様を呼び込むという効果にも期待している」(イオン銀行会長、原口恒和氏)とも話す。
10月30日にはイオン八千代緑が丘ショッピングセンター(千葉県)とイオンモール羽生(埼玉県)に、11月17日にイオンモール川口キャラ(埼玉県)に、11月21日にイオンモール日の出(東京都)に有人店舗をオープンする予定。これで有人店舗は6店舗となる。「2012年3月には、有人店舗130店、ATM2300台を目指す」(イオン銀行社長の片岡正二氏)
キャンペーン金利2%の定期預金を用意
同じく流通大手ではセブン&アイグループが「セブン銀行」で先行しているが、イオン銀行では預金やローン、保険など金融商品を幅広く扱うフルバンキングサービスを提供するのが特徴。開業3年(2010年3月期)で黒字化し、2012年3月には累積損失を解消、口座数420万口座、預金残高1兆1000億円、住宅ローン残高6700億円を目指すとしている。
別記事でも述べたように、イオン銀行がウリとするのは、(1)ショッピングセンター(SC)の営業時間内はATM利用料無料、(2)電子マネーWAONをキャッシュカードに搭載、(3)イオン銀行本支店間の振込手数料無料などだ。WAONとの連携は強く打ち出しており、ATMでWAONチャージ(入金)が行えるほか、イオン銀行のキャッシュカードからWAONのオートチャージが行える。
開業キャンペーンの目玉となるのは、大手銀行より高い金利に設定した定期預金商品だ。現在のメガバンクの金利の2倍以上となる年1.1%に設定した「イオン銀行開業記念定期」を12月31日まで全店舗で取り扱うほか、品川シーサイド店など一部有人店舗限定で、初回優遇金利2.0%の3カ月スーパー定期(店頭表示金利は0.3%)、1.5%の6カ月スーパー定期(店頭表示金利は0.32%)も提供する。
金利2.0%の3カ月定期とは?
実際に金利2.0%のスーパー定期にお金を預けると、いくらになるのだろうか? 100万円を3カ月(90日と仮定)預けた場合、税引き前2.0%の利息は以下のようになる。
100万円×2.0%×90日÷365日=4931円(税引前の利息)
利息に対してかかる税金:4931円×20%=986円
税引後の利息:4931円−986円=3945円
100万円を3カ月間2.0%金利で預けると100万3945円になるが、注意したいのは4カ月目以降の金利。定期を解約せずに継続すると、継続日の店頭表示金利に自動的に切り替わる。仮に0.3%であれば、3カ月と1日以降は金利0.3%での運用となる。
6カ月ものの場合も同様で、最初の6カ月は初回優遇金利の1.5%が適用されるので、180日と仮定すると税引前の利息は7397円。税金が1479円かかるので、税引後の利息は5918円となる。6カ月と1日目以降は、店頭表示金利(10月29日現在0.32%)に切り替わる。
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