個人投資家が求めるのは「構造改革」「解散総選挙」「政権交代」
個人投資家の間で投資意欲が急激に低下している。世界同時株安の影響もあって、人気が高かったインドやロシアなど新興国への投資熱も冷めているようだ。ロイター調べ。
サブプライムローン問題(低所得者向け住宅ローン)に端を発し、パニック売りが世界を駆けめぐった。FRB(米連邦準備理事会)の緊急利下げによって株式市場は落ち着きを見せつつあるが、日本政府の対応策を個人投資家はどのように見ているのだろうか?
株価対策の効果的な施策として「規制緩和など構造改革」を求める個人投資家が44%に達することが、ロイターの調べで分かった。次いで「衆議院の解散・総選挙」(12%)「政権交代」(11%)という結果が出た。
個人投資家からは「魅力的な金融市場にする必要がある」との声が多く、そのためには「構造改革を推し進める必要がある」(40代男性)との指摘があった。具体的には「小さな政府を目指す」(60代男性)「特殊法人の整理」(50代男性)など、行政改革を求める意見が目立った。
この調査はインターネットによるもので、1115人が回答した。回答者の金融資産残高は500〜999万円が21%で最も多く、次いで500万円未満と1000〜1999万円が20%、2000〜2999万円が13%、3000〜4999万円が12%、5000〜9999万円が10%、1億円以上が4%。調査期間は1月15日〜1月18日まで。
内閣に対する不満も多い
個人投資家の間では「政権交代」や「再編」を求める声も強い。衆参ねじれ現象が株価に悪影響を与えているとの見方もあり、「政治の安定したかじ取り」(30代男性)「4年はもつ安定政権の誕生」(40代男性)を求める回答もあった。
また内閣に対する不満も多い。「輸出に頼らない日本経済の方向の変化、明確化をアピールする」(50代男性)「福田内閣としての意気込みを出すべき」(60代男性)などの指摘があった。
投資意欲が急激に低下
日本株への投資意欲を示す「ロイター投資家DI」は−60となり、2007年12月の−30から悪化(参照記事)。サブプライムローン問題による株価の低迷や原油価格の高騰などが重なり、個人投資家の投資意欲は急激に低下しているようだ。
業種別の投資意欲を調べたところ、IT・ハイテク、自動車、金融・保険、素材などが悪化した。国・地域別の投資意欲を見ると、最近人気が高かったインド、アジア、オセアニア、ブラジル、ロシアなどの新興国株への低下が目立った。
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