ドイツ製の“X”を見て、再びさすらいの旅が始まる:郷好文の“うふふ”マーケティング(2/2 ページ)
実は手帳フェチである筆者。長いこと手帳選びには苦労しており、さまざまな手帳を使った末にシステム手帳とは“決別”したはずだった。しかしある日、ドイツ製の2つの手帳に出会い、再び激しく“手帳ゴコロ”を揺さぶられたのだ。
システム手帳vs. Xシリーズ
ラバーバンドといい時計バンドといい、なぜそんな素材や機構を手帳に採用したのか? 開発元のX17 GmbhとX47 GmbH、両社のCEO、Matthias Buttnerの説明を表にまとめた。
彼は10数年間、既存のシステム手帳の改善を続けてきた。その成果がバンドや時計軸という機能なのである。「厚くて重くて書きにくいシステム手帳を、なぜ使うんですか?」Buttnerさんはこう問いかける。その問いは私の胸に刺さった。なぜなら筆者は“死屍累々(るいるい)のシステム手帳ユーザー”だから、死屍累々(の一部)をお見せしよう。
これまで使用してきたシステム手帳の一部
(1)はバイブルサイズ。社会人なりたての頃からシステム手帳を愛用した(写真のファイロファクスは最近のもの)。そのうち外出することが多くなり、背広の内ポケットに手帳を入れたくて(2)のスリムサイズのバイブルに転向した。このサイズを4つほど買ったが、結局胸が重くて肩が凝るので使用中止に。
次はA5サイズのシステム手帳(3)の時代に突入した。複数の仕事をオールインワンで管理したかった。これも薄いタイプや厚いタイプを、4つほど購入した。仕事も手帳も管理しきれなくなって放棄した。ちなみに(4)は超整理手帳で2年継続後、蛇腹紙を折りたたむのが面倒になってやめた。(5)は米国製の6穴手帳で、ほとんど使わなかった。インチという大ざっぱさが、どうも肌に合わなかったからだ。
筆者は仕事の合理性を追求する真面目なビジネスパースンなのか? はたまた手帳業界のイージーターゲットに過ぎないのか? いずれにせよ死屍累々なのは否定できないが、手帳と仕事の関係を整理してみたい。
なぜ私たちは手帳でさすらうのだろうか?
手帳に求める機能は、基本的に2つの軸で説明ができる。スケジュール管理優先か、発想優先か、それが「段取り−アイデア軸」。手帳を携帯したいのか、バッグに入れたりデスクの上に置くか、それが「据え置き−携帯軸」。この2つの軸のどこかを優先して手帳の大きさや形が決まる。
だがこの2軸だけではシステム手帳の最大の特徴である“自分だけの手帳作り”を表現できない。もう1つの軸、「自分スタイル−おまかせ仕様」をタテに足す必要がある。システム手帳の最大の特徴は“自由”、リフィル選択の自由である。システム手帳派はこのタテ軸の“自分スタイル”を昇り、逆に能率手帳派は“おまかせ仕様”で満足する。
Buttnerさんの手帳は「もう1度自由への旅をしないか?」と筆者に問いかける。さらに従来のシステム手帳を否定する、彼の商品開発魂が「今のシステム手帳では満足できないだろう?」と筆者の心を揺さぶってくる。ああ……自由なる手帳探しの旅が、再び始まるのだろうか。
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