景気回復&人手不足の中で、派遣社員の時給は増えている?
売り手市場の影響で新入社員の給与は増加傾向にあるが、業務請負スタッフと派遣社員の時給は上昇しているのだろうか? 景気回復や人手不足などといわれているが、なかなか時給は上がっていないようだ。アイデム調べ。
景気回復などによって人手不足が話題になることが増えている。人手不足が追い風となって、派遣社員の募集時の平均時給は増えているのだろうか?
一般に「派遣社員」と呼ばれる労働形態は、請負会社が労働者に指示を出し、管理責任を負う「業務請負スタッフ」と、雇用関係は派遣会社と労働者の間で結ばれているが、仕事の指示は派遣先が行う「派遣社員」に分けられる。
2007年度下半期(7月〜12月)の業務請負スタッフの平均時給は首都圏で前年同期比−21円安の1007円、近畿エリアで同−15円安の995円、東海エリアで同9円増の1063円。一方の派遣社員は首都圏で同−13円の1199円、近畿エリアで同−8円の1113円、東海エリアで同−3円の1185円と、前年同期比で増加したのは東海エリアの業務請負スタッフのみであることが、アイデムの調べで分かった。
2006年1月から2007年12月の毎月第1・第3日曜日発行の新聞折込求人紙「しごと情報 アイデム」紙面から、業務請負業と人材派遣業に関するデータを集計した。業務請負業の平均時給データは29万3665件、人材派遣業は43万2553件。
派遣社員の時給、首都圏に迫る東海エリア
業務請負スタッフの過去2年間の平均時給を見ると、首都圏では2006年4月と2007年5月を除き、2007年上半期までは横ばいだったが、2007年11月には1000円を割り込んだ。近畿エリアでは2006年下半期までは1000円で推移していたが、2007年に入ってから下落基調になり、下半期には6カ月中3カ月で1000円を割った。首都圏と近畿エリアでの平均時給が下落傾向にある中、東海エリアでは2006年4月から12月までの9カ月間連続で首都圏の時給を上回ったほか、2007年6月以降も首都圏を抜いてトップを維持している。
派遣社員の平均時給を見ると、首都圏で下落傾向が続いているため、東海エリアとの差は14円まで迫った。近畿エリアでは2006年12月に落ち込みがあったものの、その後はわずかに持ち直し、2007年下半期は横ばい状態が続いている。首都圏で時給が増えたのは「営業・外交員」で対前年同期比71円増、次いで「軽作業者」の同25円、「レジ担当者」の同21円。2007年上半期(1月〜6月)の時給額上昇のけん引役となったのは「販売店員」(同124円増)だったが、2007年下半期は同−41円となった。「ショッピングスポットの建設ラッシュによって販売店員の時給は高騰していたが、(2007年下半期は)落ち着きつつある」(アイデム)と分析している。
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