にしてつ「nimoca」スタート――写真で見る、福岡・きっぷ&電子マネー最新事情:神尾寿の時事日想・特別編(2/2 ページ)
にしてつグループの交通IC乗車券&電子マネー「nimoca」が5月18日にスタートした。ポイント制を導入するなど、首都圏のSuica/PASMOにもない仕掛けを持つ先進的なシステムだ。nimocaで福岡はどう変わるのか? フォトレポートをお送りする。
駅周辺のショッピングビルや百貨店でもnimoca
天神駅周辺では、駅から離れた場所でも多くの店舗がnimoca電子マネーに対応していた。
まず、駅に隣接する「ソラリアプラザ」では、多くの店舗でnimoca電子マネーを導入した。その中には、「タリーズ」や「ドトール」など全国チェーンのカフェも含まれる。またメインエントランスには、nimoca電子マネーのチャージ機とポイント交換機もあり、駅の券売機まで行かなくても電子マネーがチャージできる環境を構築している。
「nimoca電子マネーは今後、福岡エリアで広く利用されていくと考えています。飲食店としては、公共交通との連動による集客効果に期待したい。今後、対応店舗は拡大していく方針です」(ドトールコーヒー DCS事業部 西日本RCエリア ショップコンサルタントの津田浩史氏)
また、百貨店の加盟店対応が多いのもnimocaの特徴だ。今回の取材では三越福岡店と博多大丸に足を運んだが、どちらも地下の食品コーナーを中心にnimoca電子マネーに対応していた。三越は110カ所、博多大丸も71カ所でリーダー/ライターを設置している。サービス開始時から、百貨店で大規模な交通系電子マネー対応をする例は珍しい。
博多・大丸百貨店
「三越の場合は、天神駅とバスターミナルと密着していまして、交通利用のために通過される方が多いという特徴があります。そこで積極的にnimoca電子マネーを導入しました。特に食品コーナーでは90台のリーダー/ライターを設置し、集中展開をしています」(三越福岡店 営業推進部広報担当の森山ミキ氏)
一方で、食品コーナー以外のフロアーでは、中央の集中レジでnimoca電子マネーに対応。利用時にはユーザーをレジまで案内する仕組みになっている。
三越福岡店
三越博多店
「天神エリア」で見たレールサイドでの面展開
このようにnimoca電子マネーの加盟店展開は、「駅ナカ」から「駅ウエ」、「駅チカ(周辺」に段階的に拡がるのではなく、駅からの徒歩圏を一気に加盟店にする"面展開"を行っている。また、駅から離れた場所には適切な間隔でチャージ機が設置されており、電子マネー利用時の利便性にも配慮されたエリア構築が行われていた。
電子マネーの普及と利用促進では、利用者と加盟店の「密度」を高くしないと、なかなかブレイクスルーしないという傾向がある。その点でnimocaは、サービス開始初期から"密度の構築"を重視した形で加盟店を展開。交通分野だけでなく、電子マネーとしても使いやすい環境になっている。
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