2008年度版「FeliCaの基礎知識」――(2)非接触ICカード編(3/3 ページ)
PASMO、TOICA、nimocaといったIC乗車券の登場や、Edyやnanacoなどの電子マネーをコンビニが積極的に導入したことにより、FeliCaカードを“かざす”場所は急速に増えた。またtaspoや運転免許証など、FeliCa以外のICチップを搭載したカードの普及も進んでいる。ここではFeliCaの話題を中心に、非接触ICカードに関する最新のトピックスを整理する。
非接触ICカード=FeliCa?
前の記事で説明したように、FeliCaが“かざすだけ”で使えるのは、リーダー/ライターが発する電波をFeliCaカードやおサイフケータイ内のアンテナが受信し、そこで通信が行われるためだ。
このように、ICチップとリーダー/ライターの間に物理的な接点がなくても利用できるICチップ(カード)を、「非接触IC(カード)」と呼ぶ。FeliCaは、近接型(通信距離10センチメートル以内を想定)非接触ICの一種だ。
日本で近接型非接触ICといえばFeliCaが最も有名だが、世界で最も普及している非接触ICカードは、蘭Philipsが開発する「Mifare(マイフェア)」である。国内でも、社員証などにMifareを採用している例は多いし、2008年からスタートした、自販機でたばこを購入するときに必要なカード「taspo」もMifareを内蔵している。
MifareはISO/IEC 14443で標準化されており、TypeAと呼ばれるが、このほか、Motorolaが開発したTypeBと呼ばれる非接触ICもある。日本では、住基カードやICチップ搭載型運転免許証に使われているのがTypeBだ。ソニーは、TypeA、TypeBよりも高速に処理できる非接触ICチップであるFeliCaを、ISO/IEC 14443 TypeCとして標準化することを目指したが、審議を打ち切られてしまった。
しかし現在、ソニーはNXPセミコンダクターズ(Philipsの半導体事業が分社した企業)と合弁会社を設立、FeliCaとMifareの上位互換となる新技術「Near Field Communication(NFC)」の開発を進めている。ISOに提案されたNFCは、2003年にISO/IEC 18092として承認された。
NFC用リーダー/ライターの市販も始まり、またNFCを内蔵した携帯電話も開発中で、新世代のおサイフケータイとして国内外で利用できるようになると期待されている(参照記事)。現在FeliCaでできることは、近い将来NFCに置き換えられていくだろう。
関連記事
- 2008年度版「FeliCaの基礎知識」――(1)“かざすだけ”で使える理由
SuicaやPASMO、Edyなど、FeliCaを利用した“かざして使う”電子マネーや交通乗車券が急速に普及している。“FeliCaの基礎知識”として、これまでの経緯と最新情報を整理する短期集中連載。第1回は、FeliCaのメリットやセキュリティについて考察する。 - 一番使われているFeliCa電子マネーは?:Edyの累積発行数が4000万枚を突破――FeliCa決済利用状況(5月版)
福岡でスタートした交通系電子マネー「nimoca」が好調だ。また、NTTドコモやビットワレットは、iDやEdyで決済すると、他社のポイントプログラムが連携するシステムの構築を進めている。 - Business Media 誠:FeliCaチャンネル
- 特集:IC CARD WORLD 2008レポート
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.