なぜダフ屋は儲かるのか? ダフ屋規制の代替案を考える:山崎元の時事日想(2/2 ページ)
コンサート会場の近くで、しばしば見かけるダフ屋。警察の取り締り対象となるダフ屋行為だが、売る人・買う人にとってメリットがあることも確か。このままダフ行為を規制するのであれば、いっそのことビジネスとして認めてみてはどうだろうか?
例えば、コンサートの個別チケットそのものを、ネット経由のオークション形式で販売するといいのではないか。圧倒的に人気のあるアーティストの良い席のチケットは、ネットのオークションに出されてしばしば高い値が付くことがあるが、これをコンサートなどの主催者が直接やればいい。技術的には、そう難しくないような気がする。
ビジネス上の問題としては、既存のチケット販売ルートとの関係が微妙かもしれない。人気アーティストのチケットだけ直販されて、そうでないアーティストについては通常のルートに流すというのでは、販売側が不満かもしれない。しかし「いい席」や「買えなかったチケット」について、販売者が蔭で自分のメリットを得ているというのでなければ、特別にチケットをオークション販売し、それ以外の(そうはいっても需要のある)席を販売ルートに流せば十分なのではないだろうか。あるいは、チケットの販売者にオークションをやらせて、収益を主催者とチケット販売者とで分けるという方法もあるかもしれない。
需給のマッチング的な需要に関しても、チケットが電子データになり携帯電話で所有できるようになれば、ぎりぎりまでチケットのオークション的な売買が可能だろう。筆者はこの辺の技術に詳しくないが、印象としては、「現在既に可能」か「遠からず可能」のいずれかであるような気がする。
それぞれの代替案を実行するにあたって、法律と技術のどこに問題点があるか、詳しいことは分からないのだが、「被害者のいない自由な取引」が便利に公明正大に行われるようになることを願う。
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