ゴミの山を“宝の山”に……ある会社の方法とは?:松田雅央の時事日想(3/3 ページ)
毎日のように会社や家庭などから排出されるゴミ。埋め立て処分場に捨てられるゴミの種類を見ると、日本もドイツもそれほど違わないのだが、処分場の構造は異なっている。今回は、ゴミの山をエネルギーの山に変えることに成功した会社を紹介しよう。
ゴミの山で太陽光発電
ゴミ埋め立て処分場から生み出される再生可能エネルギーはこれだけでない。
昔は利用方法の見当たらなかったゴミの山の上に太陽電池を敷き、太陽光発電施設として有効利用を図ることがここ数年盛んになっている。2004年に稼働を初めたこのライン・マイン埋立地の太陽光発電はドイツ国内のパイオニア的な施設である(太陽電池面積1万5000平方メートル、最大出力440キロワット)。
成長するコンセプト
ゴミ処理・埋め立て処分場「ライン・マイン埋立地」には全体を管理するゴミ処理公社RMDのほか、主なものだけでも16社が施設を建設しその管理・運営を行っている。リーテックもその1社であり、生ゴミ発酵処理工場、バイオガス燃焼施設、排水処理施設、ゴミの山の太陽光発電施設の管理運営が同社の管轄だ。
リーテック社の元来の事業はゴミ処理施設の建設であり、施設コンセプトの立案、許認可手続きの処理、設計、建設、(場合によっては)管理運営までこなす。1990年代に入り、ゴミ処理と再生可能エネルギーの統合に新たなビジネスチャンスを見出した同社は「ゴミ処理技術+エネルギー」をモットーとし、ライン・マイン埋立地では前述のように「ゴミの山のバイオガス利用」「生ゴミのバイオガス利用」「太陽光発電」を手がけている。ゴミ処理と再生可能エネルギーの統合コンセプトは現在も発展途上にあり、今後さらなる成長の可能性を秘めている。
1ユーロ≒138円
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