広告シーンを変える“キャラクター”起用の現状(4/4 ページ)
近年、クルマ業界などさまざまな分野で“キャラクター”が広告に活用されるようになっている。キャラクターを起用する広告はどのくらいの規模まで広がり、どのように展開されているのか。新マーケティングコミュニケーション研究会のシンポジウムで、鷹野義昭テムズ社長と陸川和男キャラクター・データバンク社長がその実情を語った。
企業のキャラクター戦略
陸川 次に企業はどういう目的でキャラクターを使っているのかということを、具体的な事例から紹介していきましょう。
日産自動車では、ガチャピンとムックをセレナのCMで使っています。セレナの商品テーマの「じんせい初は、セレナ初」とガチャピンの「さまざまなことに挑戦する」というキャラクター性がマッチして使ったということですね。本来のターゲットは30〜40代男性なのですが、主婦層や子ども層からも好感を得ることに成功したということもあって、年間ミニバン販売台数のナンバー1(2007年と2008年)をとったという成功事例だと思います。
江崎グリコは、みなさんの記憶にも新しいと思うのですが、「オトナグリコ」というコンセプトでサザエさんの未来像を実写で描いたCMがありましたよね。一方、アニメを実写化した江崎グリコとは逆に、日本コカ・コーラではアクエリアスヒーローズとして実際のアスリートをアニメ化し、幅広い層に訴求できるようにしています。
クルマでは本田技研工業がインサイトを発売した時のキャンペーンで、ピーナッツを起用していました。これはスヌーピーをメインにするのではなくて、ピーナッツのキャラクターそれぞれの特性とメッセージとをうまく組み合わせて展開していたと思います。もともと原作漫画のピーナッツはシニカルな内容なので、そういうことも含めてメッセージを発信していたのではないかと思います。
ロッテの「Fit's」のCMでは、モデルの佐々木希さんや佐藤健さんが、地域キャラである秋田県のたんぽ小町ちゃんや奈良県のまんとくんと一緒に踊っています。この辺はバイラルマーケティング(口コミ)的なところを意識して作られているのではないかと思います。
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以上、2009年にキャラクターが起用された主な広告を見てきましたが、キャラクターは多機能だと改めて思いますね。アイキャッチとして使うケースがありますし、ブランドイメージを浸透させたり、スイッチさせたりといった機能、そのほかにもメッセンジャーやナビゲーターとしての機能もあります。
逆に、キャラクターを使う側として見た時には、目的を明確化することとターゲットを明確化することが非常に重要になってきます。キャラクターには物語性や世界観があるので、それをいかに理解して使うかということが非常に重要です。基本というか、当たり前の話ではありますが。
今、広告費が削減され、以前のように広告が力を持たない時代になっていますが、その中でもキャラクターを使った広告というのは非常に使い勝手がいいようで、使い方も洗練されてきています。それだけ理解されるようになってきたのではないかと感じています。
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