第25鉄 位置情報ゲーム『コロプラ』で“130円大回りの旅”を満喫(完結編):杉山淳一の +R Style(6/6 ページ)
位置情報ゲーム「コロプラ」をしながら、東京近郊区間を大回りする旅、いよいよ完結編。徹夜明けの筆者は予定の行程を無事こなせたのか。1日でたまったのは何プラ? そして旅の終わりに知った「130円大回り」の本質とは――。
130円大回りはスポーツだ!?
23:09 大崎駅
結局、私は大崎で降りた。東京近郊区間大回りが規則に則ったゲームである以上、プレイヤーも規則に忠実であるべきだ。
成田駅で乗り継ぎに失敗してから考えていたことだが、130円大回りの旅はスポーツに似ている。電車に乗りっぱなしだから身体を激しく動かすわけではないが、多少の体力は必要だ。しかもちょっと気を緩めると失敗する。完遂したときの達成感と失敗したときの悔しさは、登山やマラソンに通じるものがある。規則にのっとった「競技」である。そして今回、私は失敗した。成田駅のミスを取り戻せなかった。
負けだ。スポーツマンらしく、失敗を認めよう……そういうわけで大崎で降りた。大森−大崎間の片道料金は160円である。係員のいる改札口に行き、130円きっぷと10円玉3枚を置いて出た。正規運賃を払ったから、呼び止められることはなかった。しかしきっぷの発行時刻は19時間前。怪しまれる覚悟はしていたので拍子抜けした。
帰りはSuicaで改札を通過。品川経由で大森に帰る。横浜まで行ってプラを稼ぐつもりだったのに……と意気消沈。いや待てよ、まだ電車があるんじゃないか? 携帯電話で検索してみると、品川から東海道線で横浜に行けば、京浜東北線の終電で帰れる。もう130円大回りは終わった。でも今日はまだ終わっていない。プラを稼ぎに横浜へ向かう。改札を出てすぐに引き返し、京浜東北線の赤羽行き最終に乗った。
大森到着は0時39分。20時間の長い日帰り旅が終わった。乗車距離の合計は771.9km、1日で675プラを稼いだ。ふだんは犬の散歩程度で日に6プラしか稼いでいないから、110日分を1日で貯めた勘定だ。さっそくコロニーにレーダーを2つ設置。成長したコロニーの姿を見て、やっと達成感が生まれた。
130円区間大回りだけなら“乗っただけで終わり”だ。しかし、位置情報ゲームと組み合わせると、旅の成果が具体的な形で残る。乗り継ぎに失敗したとはいえ、それさえも思い出に残る楽しい旅だった。次は明るいうちに八高線に乗りたい。高崎駅のだるま弁当も食べたい。位置情報ゲームと130円大回り。この遊びは病みつきになりそうだ。
バックナンバー
→位置情報ゲーム『コロプラ』で“130円大回りの旅”を満喫(ルール解説&計画編)
→位置情報ゲーム『コロプラ』で“130円大回りの旅”を満喫(出発進行編)
→位置情報ゲーム『コロプラ』で“130円大回りの旅”を満喫(完結編)
今回の電車賃
JR東日本、大森駅から130円区間+乗り越し運賃30円。大崎 - 横浜 380円。横浜 - 蒲田 210円。
著者プロフィール:杉山淳一
肉食系鉄道ライター(魚介類が苦手)にして、前世からの鉄道好き。生まれて間もなく、近所を走っていた東急池上線の後をついていったという逸話あり。曰く「いつもそばを走ってたから、あれが親だと思った」
コンピューター系出版社でゲーム雑誌の広告営業を経験した後、フリーライターとなる。オンライン対戦ゲーム、フリーウェア、PCテクニカルライティングなどデジタル系の記事を専門とし、日本初のEスポーツライターとしてオンライン対戦ゲーム競技を啓蒙する。
趣味は日本全国の鉄道路線探訪で、現在の路線踏破率は約8割。著書は『もっと知ればさらに面白い鉄道雑学256(リイド社)』『知れば知るほどおもしろい鉄道雑学157(リイド社)』『A列車で行こう8 公式ガイドブック(エンターブレイン)』など。
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