スノボ・國母選手のスタイルをパーソナルデザインの視点から見る(3/3 ページ)
スノーボード・ハーフパイプのバンクーバー五輪日本代表・國母和宏氏。バンクーバーへの移動時に代表の制服を着崩していたことで各方面から批判された。彼のスタイルをパーソナルデザインの視点から見ると、どのように評価できるのだろうか。
事前研修が必要
国際化が当たり前の時代、オリンピックのようなグローバルかつ公のメディアが入る場に選手を送り込むに当たり、ファッションスタイルについて何も事前研修がないこと自体を運営側が反省するべきだと思うのです。マナーよりも、見た目の方が、大きく一人歩きする可能性が高いからです。
なぜって?
それは、映像だからです。
最悪、そんなセミナーがなかったとしても、公の場に出る立場の人たち自身が下記のことを自ら実行することが大切です。
1.自分の外見印象を知る
2.自分の内面的な個性、能力を知る
3.自分の置かれている環境を知る
4.上記3点を考慮して、今現在の自分の見せ方を明確にする
5.見せ方のコンセプトが明確になった上で、髪型、洋服、振る舞いをトータルにデザイン(コーディネイト)する
これからの国際化の中で、自分自身が損をしないためにとても必要なことではないでしょうか。
今回の國母選手は、自分の職業や個性におけるパーソナルデザインはできていましたが、マクロの環境においてパーソナルデザインはできていなかった。そして、飛び抜けた個性を表現したスタイルだっただけに、批判を受けてしまった。しかし、そのおかげで何か得るものはあったのではないかと思うのです。
一方、まったく個性を表現せず、保守的で目立たないビジネスマン。普通であるから誰も何も言わないものの、グローバルスタンダードからすると不思議な着こなしのビジネスマン。陰では言われても、目の前では何も言われないから、ずっとそのスタイルを続けてしまう。結果、損する場面が延々と続くかもしれないのです。
保守的であればいいのではなく、國母選手のように個性を表現することも必要とされる時代。そして、その個性をTPOによって変幻自在に使い分けることが求められるグローバルな時代なのです。
日本選手団団長の橋本聖子氏が、國母選手の結果を受けて下記のようなことをコメントしてました。
「技術だけでなく、人間力を磨いてほしい」
「ファッションスタイルは人間力」なんて言うほど大層なものではない、と私は思います。ただ単に、TPOによる着こなしを学べばいいのです。後はTPOを踏まえた上で國母選手のように個性を表すこと。この2段構えで、得をすることが世の中にはたくさんあるのです。「たかが、ファッション。されど、ファッション」なのです。(唐澤理恵)
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