売れるコンテンツは私たちの内側にある(2/2 ページ)
モノが売れない時代にどうすればコンテンツを開発することができるのか。その鍵の1つは自分たちの内側にあると筆者は主張する。
バトンをパスするためのショップ
もう一例。すでにご存知の方も多いが、表参道ヒルズに最近出店した、話題の「パスザバトン」というリサイクルショップだ。
丸の内の店舗に続き、最近表参道ヒルズにオープンしたこの「パスザバトン」は、リサイクルショップといっても、いわゆる「古着屋さん」「リサイクル屋さん」などとは明らかに一線を画す。
同社のWebサイトに、コンセプトとして「それぞれ培った個人の文化をお互いに尊重しあい、交換し合う。新しいものを創造するのもよいし、すでにあるものを大事にするのもよい。すでにある誰かの技術、今の私の価値、将来の誰かにとっての大事」(Webサイトより一部抜粋)とあるように、物を売るだけでなく、そのものの持つ文化や背景を次の世代へと伝える、つまりバトンをパスする、という目的のために運営されるショップだ。
商品の多くは、単なるリサイクルとして持ち込まれたものではなく、リメイクしたり、リデザインしたりして、「パスザバトン」のタグが、商品のストーリーとともに付けてある。気鋭のクリエイター山田遊氏が関わるだけあってMDのセンスも抜群で、従来の小売りとはまったく異なるコンセプトのこの店舗は、地下にあることも手伝って、異空間の雰囲気を漂わせる。
商品を開発し提供することは、すべてにおいて次の時代への貢献ということもできる。視点を変えれば価値があるもの、明日に残すべきものは、実は自分たちが持っているかもしれない。たまには新しさを追いかけることを忘れ、自分たちの内側、あるいは過去を見つめることも必要なのかもしれない。(猪口真)
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