正社員の給料は上げても……非正社員は給料増「なし」の企業が過半数
帝国データバンクは「2011年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の結果を発表、2011年度に正社員の賃金改善が「ある」と答えた企業は37.5%と、「ない」の35.8%を上回った。一方、非正社員の賃金改善については、「ない」と答えた割合が51.5%と「ある」の16.0%を大きく上回った。
帝国データバンクは2月3日、「2011年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の結果を発表、2011年度に正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引き上げ)が「ある」と答えた企業は37.5%と、「ない」の35.8%を上回ったことが分かった。
業種別に見ると、「農・林・水産」「製造」「卸売」などは正社員の賃金改善が「ある」とした割合が「ない」を上回ったが、「金融」「建設」「不動産」などは「ない」の割合が「ある」を上回った。
一方、非正社員の賃金改善意向についても尋ねると、「ない」と答えた割合が51.5%と「ある」の16.0%を大きく上回った。正社員と非正社員との賃金格差について企業では、「ある程度の格差はやむを得ず、それが雇用確保につながっている」(専門サービス、東京都)、「社会保険料の企業負担が一番の問題。これが消費税になれば相応額の賃金アップができ、非正社員から正社員への移行も行いやすくなる」(警備、東京都)といった声があった。
賃金を改善する理由、しない理由
正社員の賃金改善があると答えた企業にその理由を聞くと、「労働力の定着・確保」(56.2%)と「自社の業績拡大」(50.5%)が上位。以下、「同業他社の賃金動向」が14.3%、「物価動向」が7.0%、「最低賃金の改定」が6.0%が続いた。
一方、賃金改善がないと答えた企業にも理由を聞くと、トップは「自社の業績低迷」で73.8%と断トツ。以下、「同業他社の賃金動向」が19.6%、「物価動向」が15.7%、「内部留保の増強」が15.6%、「人的投資の増強」が9.7%で続いた。
具体的には、賃金を改善するとした企業からは「社員のスキルアップにより、さらなる質的向上を図っていくため」(建設、岡山県)といった声があった一方、賃金を改善しないとした企業からは「今の利益幅が続くかぎり、ベースアップ・社員の新規採用は考えられない」(飲食料品卸売、神奈川県)といった声があった。
インターネットによる調査で、対象は全国1万1017社。調査期間は2011年1月19日から31日。
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