コラム
「アメとムチ」で人をやる気にさせることはできるか?(2/2 ページ)
指導や教育でよく言われる「アメとムチ」。しかし、実際にはアメとムチだけでは、逆効果になることが少なくないのだという。それではどのような指導をすればいいのだろうか。
研修後のフォローが大事
『エチカの鏡』で有名になった平林都さんの研修では、怒号が飛び交いその迫力に注目されることが多いが、最後まで見ていると、研修自体よりも研修後のフォローにこそ人を変える要諦があるように思える。
研修後に問題のある受講生に対して個別に指導しているのだが、そのアプローチはアメとムチではなく、本来持ち備えている使命感をいかに引き出していくかということに焦点が当てられている。本人の気付きをうながしているのである。
そして、最終的には自ら気付き、自律的に行動し出した時、意欲(=内発的モチベーション)が高まり、大きな変化(=成長)が現れている。
最近、怒れない上司や教師や親が増えたと嘆く人も多いが、表面的なことにとらわれ、本質を見ていない人が多いように思える。少なくとも感情を伴った「怒る」という行為は怒る側、怒られる側双方にとってマイナスである。「叱れども怒らず」であり、強く言うにしても他者の視点に立った「叱る」ということでなければ人は育たない。
時と場合によっては、アメとムチも効果があるのかもしれないが、少なくとも他者視点に立たない行為は逆効果となるリスクが高いであろう。そして、何よりも本人に気付きを与え、自律行動をうながすことこそが行動意欲を高め真の成長につながる。(松本真治)
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