ファン1人増=Webサイト訪問数20回増――Facebookの広告効果を分析する
Facebookが日本でも普及するにつれて、その広告公開についての議論もされるようになっている。Facebookでのファンを1人獲得すると、どのくらいのビジネス上のメリットがあるのかについて、費用対効果的な視点からの数字を、海外のデータとWeb担のデータから分析する。
著者プロフィール:安田英久(やすだ・ひでひさ)
インプレスビジネスメディアWeb担当者Forum編集長。プログラミングやサーバ、データベースなどの技術系翻訳書や雑誌『インターネットマガジン』などの編集や出版営業を経て、現在、Webサイト「Web担当者Forum」編集長。ビジネスにおけるウェブサイトの企画・構築・運用と、オンラインマーケティングの2軸をテーマにメディアを展開している。
オンライン視聴率などのデータを提供しているHitwise(ヒットワイズ)のブログに面白い記事がありました。
→「1 Facebook fan = 20 additional visits to your website」
小売業では、Facebookページで1人の新しいユーザーに「いいね!」してファンになってもらうと、その後1年でWebサイト自体への訪問者数が20訪問増えるというのです。
「Facebookで広告を出したりして活動する場合の費用対効果」への答えの1つとして、英国でのデータを分析したもので、同社で蓄積しているユーザー行動データと、同社が新たに提携したTechlightenmentのデータから導き出した数字とのこと。
記事ではまた、大手の小売業であれば、特にそのブランドのファンをFacebook上で獲得していなくても、毎月Facebookから6万2000訪問あるとも示しています。
もちろん、これはFacebookが浸透している英語圏のうちでも英国に限定したデータであり、日本ではまた異なるでしょうから、そのままの数字としては日本では使えないでしょうが、なかなかおもしろい見方です。
Web担のデータで調べてみましょう。Web担のFacebookページに「いいね!」してくれている人は、今約3300人。Facebookインサイトを調べたところ、直近3カ月での「いいね!」増加数は1948でした。Webサイトへのアクセス数でFacebookを参照元とするアクセスは、直近3カ月で対前期に比べて約1万5000セッション増えていました。
計算すると、Web担の場合は、Facebookページに「いいね!」してくれるユーザー1人あたり、年間60セッションほど増える計算になります。Hitwiseのデータよりも多く見えるのは、小売りよりもWeb担のようなメディアのほうが情報が拡がりやすいからでしょうし、日本では今Facebookの利用が伸びているからといったところが理由でしょう。
Facebook上でファンを1人獲得するごとにWebサイトへの訪問が年間20セッション(ぐらい)増えるという(参考基準としての)指標があれば、あとはコンバージョン率や客単価をかければ、Facebook上でのファンがもたらすビジネス上の効果の仮説を立てられますよね。そうすると、Facebookでファンを獲得するために広告を出す場合に、獲得単価を計算しやすくなります。
あなたのWebサイトでも、一度計算してみてはいかがでしょうか。もちろん、FacebookもTwitterも、直接の売り上げのためだけでなく、顧客とのコミュニケーションが中心だったり、サポートが中心だったりする場合もあると思いますが、そういうビジネス目的を設定していても、意外と直接売り上げに結びついているかもしれませんよ。(安田英久)
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