デジタルの世界の4つの戦い――Googleは「オフィス」を制するか?:遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論(3/3 ページ)
デジタル業界では今、熾烈な戦いがいくつも繰り広げられている。ソーシャルメディア、クラウド、モバイル、オフィス……マイクロソフトとインテルによる長期安定政権が終わり、それぞれのフィールドで、多様なプレーヤーたちが覇権争いをしているのだ。
確かに、仕事に関する情報がタイムラインの上に流れてきて、Google+の「サークル」のような感じで案件ごとに切り替えて眺めることができれば、「これがビジネスの正体」だとさえ思える。その背景には、もちろん企業のリソースはあるだろうが、経営者からエンジニアからセールスマンまで、ビジネスの活動自体はこういうものだろう。これらは、企業の中と外にまたがっていることが新しい部分でもあり、いわゆる「中の人」という言葉なども、そんな関係で出てきている。
日本では今、Facebookがすごい勢いで会員数を増やしている。Google+の前に強力に立ちはだかっているのはやはりFacebookだが、Googleは完全にFacebookのコンペティターになろうとしているのか、あるいはそうではないのか? 「サークル」や「タイムライン」、「モバイル」との自動連携といった、インタフェースの実験をしているともいえるのではあるが。 【遠藤諭、アスキー総合研究所】
遠藤 諭(えんどう さとし)
1956年、新潟県長岡市生まれ。株式会社アスキー・メディアワークス アスキー総合研究所 所長。1985年アスキー入社、1990年『月刊アスキー』編集長、同誌編集人などを経て、2008年より現職。著書に、『ソーシャルネイティブの時代』(アスキー新書および電子書籍版)、『日本人がコンピュータを作った! 』、ITが経済に与える影響について述べた『ジェネラルパーパス・テクノロジー』(野口悠紀雄氏との共著)など。各種の委員、審査員も務めるほか、2008年4月より東京MXテレビ「東京ITニュース」にコメンテーターとして出演中。
コンピュータ業界で長く仕事をしているが、ミリオンセラーとなった『マーフィーの法則』の編集を手がけるなど、カルチャー全般に向けた視野を持つ。アスキー入社前の1982年には、『東京おとなクラブ』を創刊。岡崎京子、吾妻ひでお、中森明夫、石丸元章、米澤嘉博の各氏が参加、執筆している。「おたく」という言葉は、1983年頃に、東京おとなクラブの内部で使われ始めたものである。
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