なぜ「報・連・相」は徹底されないのか(2/2 ページ)
企業研修で重視される報連相。個々人の報連相能力を高めるために企業は多大の努力をすべきだが、大企業でもその文化が徹底している企業は少ないという。それはなぜなのだろうか。
家庭から見える報連相能力
報連相は家庭内での様子を見れば、一番良く分かります。
「じゃ出かける。ところで今日俺たちの結婚記念日だったよな」
「あら覚えていらっしゃたのですか」
(忘れるもんか俺が自殺した日だから)「もちろんだよ。早く帰ってどこか外で食事でも、と思っていたんだけど。役員会の後、二次会があって抜け出せなくなるかもしれないと心配しているんだ」
「早く出世してほしいし、ちゃんとお偉方様たちと付き合ったほうがいいわよ」
「ジャ、そうなったら明日一緒に飯を食うことでいいか」
「いいわよ」
という会話ができるか。それとも連絡もせず、遅く酔っ払って帰ったら、「あなた、今日は何の日だと思ってるの」とわめかれるのとは大きな違いですね。
私事ですが、娘はこの連絡がうまい。心配性の家内も通常は娘が夜中の2〜3時に帰ってきても平気にしている。ラスベガスやカンクンなどへ友達と遊びに行っもあまり心配しない。過剰なほど連絡を取っている。もうどこどこに着いてホテルにいる、明日はどこどこへ行く、だれそれといる、何時ごろグアダラハラに着く。遅く昼飯に帰ってきて1人で食べた後は、必ず紙ナプキンに「すごくおいしかった、ありがとう。お母さん大好き」と毎回書き置きをする。はたから見ていて、「こん畜生。うまくやってるな」と思うくらいである。どこで母親操縦法を覚えたのかは知らないが、報連相の効果だ。
報連相は単なる技術でなく信頼性の基礎です。「あいつに頼めば必ずやってくれる」「難しいことがあったら勝手な判断で処理しないで必ず相談してくる」と信頼されたら、仕事上の評価が上がるのは当然でしょう。「あいつは大して実力もないのに要領がいいので出世が早い」とあまりいい噂を立てられない人を分析してみてください。多くの場合、要領がいいというのは、良く思いつき、報連相が十分なされている場合が多いと思います。
何も『プレジデント』の調査分析を待つまでもなく、信頼関係を作る根本は報連相です。これをリーダーシップ力、人間力として、自分も周りの人も一所懸命使っていくこと、これを企業文化に定着させるとその会社の戦力はシナジー効果を発して企業ブランドが高まることになるでしょう。(近藤紘)
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