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名選手は名監督ならず――キャリア教育は誰が行うべきか(2/2 ページ)

プロスポーツで、名選手が名監督になるのは、スタープレーヤーで、なおかつV9監督の川上氏などが例外であり、標準とは言えません。名選手になるトレーニングや鍛錬は、名指導者になるためのそれとは別物だからです。教育に携わる者も似ています。この違いを考えてみましょう。

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キャリア教育の目標とは

 キャリア教育の目標は、キャリアを形作るための必要な判断能力の養成と、判断材料の取り方といった、「能力養成」がカギであり、インストラクターの提供する知識は2の次、3の次になります。知識は確実に陳腐化しますので、キャリアのように日々動いているものにおける知識には価値がありません。まして職業知識は、プロであるキャリアカウンセラーであってもすべてを網羅することはできません。日々新しい職務が生まれ、逆に消え去っていく職務もあり、こうした生きた情報は、随時「自らが拾うことができる」能力を身に付けさせれば十分と言えるでしょう。

 さらにはビジネスセンスは重要なマターになります。非現実的な夢追いや、一定の能力がなければ達成できないキャリアについて、しっかりと現実感を検証させることで、結果として地に足のついたキャリア選択が実現できます。

 これまで何千人もの新卒大学生・院生や社会人のキャリアカウンセリング、キャリア指導をして参りました。私が提供できるものは情報ではなく、情報の受け方・見方だと考え、それを教えるツールとして現実の求人情報やキャリアモデルを使用しています。

 (学校の)先生方がキャリアの専門家である必要はまったくありません。むしろ先生は教えるプロです。それぞれの学校が置かれているポジショニング、お客さん(生徒・受講者)のポジショニング、そうしたマーケッタビリティを冷静に把握しなければ、夢や一般論に終止する、一番効果が無く、そしてつまらない、「ウケない」キャリア教育ができあがります。

 そうなのです。マーケティングメソッド、マーケティング理論は、「市場価値」によって支配されるキャリアの世界との相性が非常に高いのです。キャリア心理学発祥のキャリア教育にかけている一番の部分はこのマーケティングセンスだと感じます。ぜひ視点を今一度見直して、教育に臨んでいただきたいと思います。(増沢隆太)

 →増沢隆太氏のバックナンバー

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