日本政府観光局は1月20日、2011年の訪日客数が前年比27.8%減の621万9000人となったと発表した。大阪万博による増加の反動で同22.7%の下落率を記録した1971年を超え、過去最大の下落率となった。
月別にみると、4月に前年同月比62.5%減と単月で過去最大の下落率を記録したが、減少率は徐々に縮小し、12月は同11.7%減にとどまった。
最大の減少要因は、3月11日に発生した東日本大震災と福島第一原子力発電所事故。日本政府観光局では「団体旅行、個人旅行とも訪日旅行のキャンセルが相次ぎ、新規予約も含め、訪日旅行が日本全域にわたって大幅に手控えられた。特に福島第一原子力発電所事故により、旅行の前提となる安全・安心に対する懸念が払拭されないことが大きく影響した」とコメント。また、円高も旅行地として日本を選択する上で不利に働いたようだ。
国・地域別にみると、最も訪日客数が多かったのは韓国で165万8100人(前年比32.0%減)。以下、「中国」が104万3500人(同26.1%減)、「台湾」が99万4000人(同21.6%減)、「米国」が56万6000人(同22.2%)、「香港」が36万4900人(同28.3%減)で続いた。
台湾の減少率が比較的小さくなっているが、これは4月以降台湾の有力者が訪問団を率いて来日したことや、日本政府や自治体レベルでの訪日旅行に対する安全性についての説明会が報じられたことが要因。10月には震災後初めて前年同月比でプラスともなっている。
関連記事
- 景気回復や羽田国際化が後押し、2010年の訪日外国人数は過去最高に
日本政府観光局は、2010年の訪日外国人数(推計値)を発表、前年比26.8%増の861万2000人と大きく伸びたことが分かった。過去最高だった2008年の835万1000人を26万1000人も上回った。 - 震災後「利用客ゼロ」からの再起――はとバスのいま
東日本大震災以降、福島第一原発の事故の影響で観光業界は大きなダメージを受けている。東京観光ツアーの最大手・はとバスでは、3月12〜31日の利用客がゼロという事態に陥った。震災から5カ月、回復基調にある同社ではどのような手を打っているのだろうか。 - 「早野黙れ」と言われたけど……科学者は原発事故にどう向き合うべきか
3月11日の東日本大震災にともない、発生した福島第一原発事故。日本科学未来館で行われたイベント「未来設計会議第2回『科学者に言いたいこと、ないですか?』」で、東京大学の早野龍五教授は、科学者の本分は「データの出典を示して、解析して、公開して、議論することである」という思いのもと、情報を発信し続けていると語った。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.