謎の就活用語「キチョハナ」――会社説明会を行うのは何のため?:サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)
新卒採用にあたり、多くの企業が行う「会社説明会」。文字通り自社についての説明を行う会ですが、そもそもこれ、なぜお金をかけて、わざわざ場所を借りてまでやっているのでしょうか。
「タピオカ短期大学デザート学部のサカタと言います。本日は貴重なお話をありがとうございました」と前置きをしてから質問をするという一連の流れを切り出して、就活生たちは略語にしています。類似で「キチョハナカンシャ」という言葉もあり(「貴重なお話をいただき感謝しております」の略)、そういうアクションをする学生たちを揶揄する使い方もあるようで、なかなか面白いです。
ただ、このキチョハナに関しては、ビジネスパーソンで違和感を持つ人はいないでしょう。セミナーや勉強会などに参加して、講師などの登壇者に対して質問する際に、ほとんどの人がこの台詞を言うわけですから。裏を返せば、社会人だけでなく就活生たちもこのお決まりの文句を言うようになった、という見方もできるのです。
就活生の中には、会社説明会において「キチョハナ」という台詞を言う、つまり質問することがとても重要だと考えている人もいます。自分を採用担当者たちに印象づける一つの手段として有効だと考えているのです。逆に「質問はしたいけど、つまらないことを聞いたら、間違いなく採用担当者の印象が悪くなりますよね」と躊躇してしまう就活生もいます。言葉通りの会社説明会ならば、その趣旨から考えると、後者の就活生が質問すべきだし、そういう空気を作るべきなのですが、残念ながらそうはなっていない。漠然と「いままでもやってきたから」と開催し、それを執り行う企業が本来の言葉の持つ意味とは違う部分に重きを置いたが故に起きてしまっている、ある種の茶番に会社説明会がなっているとしたら「キチョハナカンシャ」という妙な言葉が、それを象徴しているのかもしれません。
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