話し方ばかり訓練してもダメ――評価される人、されない人の違い:サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)
アイティメディアなどWeb系企業5社が今年、合同で新卒採用を行うという取り組みをしていました。選考を通過した就活生の数は「2:6:2」。2割、6割の就活生はどんな人たちだったのか? その詳細を、採用担当者たちのコメントとともに見てみましょう。
言葉を取り繕っても、魅力的に感じない就活生たち
5社とも通過する就活生の共通点が「自分で決断し、行動した」ということだったとしたら、5社すべて通過しなかったという就活生の共通点は何でしょう?
それは「話している内容に、自分、というキーワードが見えてこなかった」という話につきるようです。例えば、就活生の多くは、大学のガイダンスなどを通じて「就活生としての振る舞い」を訓練されることも少なくありません。ですから、「私はこういう経験をしました。その経験を通して、継続学習能力が身に付き、それが私のセールスポイントです」という、ある意味形式通りに話をする技術は高くなっています。しかし、言葉がきれいで訓練された話しぶりであればあるほど、その中身が伴っておらず、自分で決断して行動したわけではないことが、浮き彫りになってしまうのです。
こういう話をすると「すべての大学生が、自分で考え、決断し、行動した経験を持っているわけがない。それを要求する企業は理不尽だ」という意見が続出します。しかし、すべての学生がそうでいなくても、そういう経験をしてきた学生も意外にいるのです。事業の継続と発展のために企業がそういう学生に魅力を感じ、それ以外は採りたくないと考えるのは当然なのです。
話す訓練を受けている就活生と、そうでない就活生が混在していた時代には、話が上手な就活生が選考を通過していました。しかし、みんなが話せるようになると、当然中身が重要視される。逆に、形式だけでは意味を持たなくなった今は、上手く話せなくても評価されるようになってきています。いまの自分は過去の自分の延長線上にある、それが評価されるというきわめて当たり前な時代が来つつあるということです。
だからこそ「未来の自分」を作るべく今から行動すべき、と考えるのがベストな選択肢。だから、できることから始めてみましょう……という、ある意味で救いようのないオチが定番なのです。でもこのコラムでは「そうはいっても、まだ内容だけでなく、話が上手いというだけで評価してしまう企業もある。学生時代に何の経験もしてこなかった人は話術を磨くところだけでもしておきましょう」とブラックな締めをコソッと書いておくことにします。
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