選挙は「3勝3敗」で、勝てる理由:仕事をしたら“選挙の勝ち方”が見えてきた(後編)(3/6 ページ)
選挙の裏ではさまざまな人間が動いているが、なかでも重要な位置を占めるのが「選挙プランナー」だ。あまり聞きなれない言葉だが、一体どんなことをしているのだろうか。選挙プランナーとして活躍されている株式会社アノンの野沢高一氏に話を聞いた。
電話調査の結果を分析
野沢:次に電話調査の結果を分析します。例えば、X市の市長選では、7割の人が投票先を決めていて、3割の人がまだ決めていないとします。そして地区を細かく分けて、X市Yの1丁目では、Dに投票する人が10人、Cに投票する人が5人――といった数字を出していきます。Yの1丁目はDが有利、2丁目もDが有利、3丁目はEが有利という結果がでたら、有利な地区を攻めていけばいい。
選挙というのは、すべての地区で全パワーを注ぐことはできません。有利なところできちんと票をとって、しっかりと勝つ。選挙区を6つの地区に分けて、3つの地区で勝つ。残り3つの地区で負けても、負け数を少なくすればいいんですよ。陣取りゲームのように面をとっていくのが“選挙の勝たせ方”と思っているので、「3勝3敗」でも当選できるんです。
簡単に言えば、相手よりも1票でも多ければいい。自分のファン票+前回の選挙で別の候補者に入れた票+初めて選挙に行く票(引越ししてきた人+20歳になった+今回の選挙に興味がある)……この票を集めればいいんですね。
電話調査の結果から見えてくるもの
土肥:いま東京○○区のデータを見せてもらっているのですが(読者のみなさま、すいません。これはお見せすることができません)、例えばAの1丁目では10人ほどしか調査していませんよね。それだけの人数でこの地区のことが分かるのでしょうか? もう少し母数が多いほうがいいのではないでしょうか?
野沢:このデータを見て、すべてが分かるわけではありません。ただ候補者はこのデータがなければ、どこにビラをまいたら有効なのか、どこで演説をしたら1人でも多くの人が聞いてくれるのか、といったことが分からないんですよ。「どこで演説をしたらいいのか? Aの1丁目にあるスーパーの横でしよう!」――といった感じで、このデータは判断材料になるわけです。
ちなみに、もしドイさんが候補者だとして、このデータを見たときどのように感じられますか?
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