コラム
MKタクシーのおもてなしマーケティングでライフスタイルが向上(2/2 ページ)
タクシー激戦区京都で業績好調のMKタクシーはアドボカシーマーケティングのベストプラクティス企業である。
話を銭湯に戻そう。マンションに帰宅してMKのコールセンターに電話をする。僕のナンバーは登録されているので、「マンションまで1台お願いします」と言うだけだ。しばらくするとセンターから電話がかかってくる。「タクシーが到着しました」。ほとんどパジャマ同然の姿でマンションの前に出る。そこには正装した運転手がタクシーのドアの前でお迎えしてくれている。「お待ちしておりました。頭にご注意ください」と言われながら少しVIP気分で、タクシーに乗り込む。
「車内の温度はいかがでしょうか?」「大丈夫ですよ」というような会話をしながら、10分もかからない近距離を走り、外からドアを開けてもらい「行ってらっしゃいませ」と送り出してもらう。初乗り運賃でも嫌な顔ひとつもしないのだ。
帰りも電話して、「今銭湯にいるので自宅まで帰ります」と言うだけだ。平日の銭湯がプチ贅沢な気分で楽しめるのもMKタクシーのおかげである。
こうした体験を重ねると、街で流しのタクシーを拾うときも、MKタクシーを選別して拾うことになる。JRを降りてもわざわざMKタクシー乗り場まで行くのだ。(MKはJRのタクシー乗り場には入れできない)まさしく、アドボカシーマーケティングで僕をとりこにしてしまったのだ。
企業におけるお客様センターは利益に即時に直結はしないコスト部門的位置づけだが、アドボカシーマーケティングの考え方にのっとると、将来の収益の大きな源泉と位置づけられるはずであり、ぜひとも取り入れたい考え方である。(渡部弘毅)
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