労働法の“ひずみ”を解消する「7つの処方箋」とは:公認会計士まーやんの「ロジカるつぼ」(後編)(1/4 ページ)
前回のインタビューでは労働法のひずみが生じている背景などについて聞きました。今回は、新しい労働法の姿として、著者の倉重氏らが提唱している7つの処方箋について、詳しく伺います。
前回に続き、『なぜ景気が回復しても給料は上がらないのか』の筆者である弁護士の倉重公太朗氏に、新しい労働法の姿として提唱している7つの処方箋について詳しく伺います。
勤労意欲を引き出すためには
眞山:本書では労働法のひずみを解消するための「7つの処方箋」が書かれています。雇用流動化のための施策についてページが割かれていますね。“入口(採用)”と“出口(解雇や退職)”の両方を拡大するための施策が多いですが、この処方箋を実現する前提として、やはりセーフティネットの拡充が大事なのではないでしょうか?
倉重:その通りだと思います。
例えば「ベーシックインカム(※)」という発想がありました。生活に最低限な支給があれば、確かに安心して転職することができるでしょう。しかし、肝心の勤労意欲をそいでしまうことがありうるので、仮に今の失業保険制度の給付期間を勤労意欲が確認できる人にのみ延長するとか、あるいは失業した人に対して給付つきの職業訓練をする場を提供するなどの工夫をしないといけないと思います。
また、働き方は雇用に限られたものではありません。例えばデザイナーなど一部の職種では、インディペンデント・コントラクター(個人事業主)という形態があります。ハローワークは求人案件を紹介するだけでなく、このような個人起業の支援ができる仕組みも持てば良いのではないかと思っています。
眞山:ハローワークが起業を支援するというのは、新しい考えですね。
倉重:“出口”と“入口”の双方を監督する機関という意味でハローワークの果たす役割が大きいですからね。もちろん、起業支援には特別な知識が必要なので、ハローワークから民間への業務委託をするなどの落としどころになるのではないかと思います。
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