エアアジア・ジャパン、新体制はリゾート路線特化の「バニラ・エア」:成田拠点の国際線LCCに(2/2 ページ)
マレーシアのエアアジアとの合併を解消したエアアジア・ジャパンが新社名「バニラ・エア株式会社」を発表。成田を拠点に国内外のリゾート路線に特化したLCCとなる。
石井社長に聞く、「安かろう、悪かろうのイメージを払しょくしたい」
囲み取材における石井社長のコメントは以下の通り。
――どのようなLCCとしたいのか?
石井社長: 「LCC、安かろう悪かろう」というイメージは変えたいですね。日本のお客さまに利用していただけるような品質、例えば定時性、遅延率といったものをきちんとしたい。サービス内容はシンプルにします。大勢のお客さまに何度でも乗っていただけるような安い運賃を提供することが第一ですから。ただ、その中でも工夫をしてサービス水準は上げていきます。そうして、感動していただける旅を提供したい。そういう面で、われわれは新しいLCCになる。LCCというと悪いイメージがある。それを変えていきたいなと思っています。そして、成田を拠点とする本格的な国際線LCCとして、その次の展開も計画中です。
――エアアジア・ジャパンの販売システムは何が悪かったのか。今後どうなるのか?
石井社長: LCCのモデルではWebでの販売が主流になりますが、それが日本のお客さまにとっては非常に使い勝手が悪く、安定性がなかった。新会社では12月の立ち上げまでに新システムをつくります。これは日本のお客さまにとってシンプルでチケットが取りやすい、安定性のあるシステムです。予約から搭乗も含めて、できるだけシンプルにしたいと思っています。
――電話予約などにも対応するのか?
石井社長: 現在もコールセンターを設置しています。これからは対象が老若男女、ファミリーになります。Webで予約をするのが苦手な人もいらっしゃいますので、さまざまなニーズにこたえていきたいと思います。また、新たなマーケットをつくっていかないといけません。既存のマーケットの中で他のお客さまを取りあうのでは成功しません。旅行会社や就航先の地元を含めて一緒に新たな旅行需要を喚起するための取り組みを行っていきたいと思っています。
――機材は当初2機体制のようだが、12月からの国内線は事実上、廃止なのか?
石井社長: 詳しい路線計画については9月下旬に改めて発表します。今のところ、12月スタートの段階では2機体制、2013年度中のできるだけ早いタイミングで3〜5機体制にもっていきたいと思っています。2014年度に8機体制、2015年度に10機体制。すべてANAからのサブリースでA320を予定しています。ここまでは一気にやります。LCCのモデルでは、できるだけ効率よく機材を回して、便数を増やして国内、海外をやっていくことが大事です。
――なぜ「バニラ」なのか?
石井社長: 候補は200以上あったのですが、バニラというのはシンプルだけども、非常に手をかけて品質がいい。そういう航空会社になりたいという想いがあります。それと世界で人口に膾炙(かいしゃ)していますから、みなさんに親しんでいただけるのではと思っています。非常にかわいらしい名前だと思います。
――付帯収入の話があったが、例えば貨物路線か?
石井社長: 貨物収入は今のところ考えていません。付帯収入という面ではエアアジアと組んだメリットがあったのかなと思っていますが、売れる仕組みといいますか、成田でもエアアジアカフェという売店がありますし、機内でも販売をやっています。ただ、私がみたところでは、もっと売れるもの、価値あるものを提供すればお客さまに買っていただけるかなと思っています。今はだいたい収入の17〜8%くらいですが、これを20〜25%くらいまでいけると思います。それによって低廉な運賃を提供していけるのかなと。
――ピーチアビエーションとのブランドの統合は考えなかったのか?
石井社長: 議論はまったくありません。間接的な関係はありますし、ピーチは非常に成功していますので、われわれもいいところについてはどんどん吸収して、お互いに切磋琢磨していきたいなと思っています。バニラ・エアを絶対に成功させます。
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