ネスカフェ、「インスタントコーヒー」終了!? すべて「挽き豆包みコーヒー」に:インスタントコーヒーの技術革新(2/2 ページ)
1960年に登場したインスタントコーヒー「ネスカフェ」。コーヒーの粉末内にコーヒー豆の粒子を含む新製法に全面移行することで、お手軽さを維持したまま、淹れたての香りと味わいが実現できるようになったという。
インスタントなのに「インスタントコーヒー」を名乗れない理由
日本の行政ルールでは「インスタントコーヒー」と「レギュラーコーヒー」の2種類しか規定されていなかった。粒子とはいえコーヒー豆を内包する挽き豆包み製法の場合、「インスタントコーヒー」を名乗れないという事情があった。そこで、消費者庁とも相談して新ジャンル「レギュラーソリュブルコーヒー」を生み出したのだ。
同社では、すでに「香味焙煎」シリーズをレギュラーソリュブルコーヒーとして2010年から販売している。高岡社長は「『香味焙煎』は、消費者に受け入れられるかどうかという実験でもあった。購入者からクレームもなく品質に満足していただいたようだ。そこで全ブランドをレギュラーソリュブルコーヒーに切り替えることとした」という。
発表会には、スペシャルゲストとして市川猿之助さんが登場。伝統を壊しながら新しい価値を生み出していく歌舞伎界になぞらえ「革新は叩かれる。でも孤立無援の中、勇気を持って進んでいけば、しばらくしてから評価される。客は内容が良ければ愛してくれるし、悪ければそっぽを向く。常にアンテナを客に向け、彼らが良いと思うものを提供していくことが重要だ」とコメント。
本当はコーヒーの苦みが苦手という猿之助さんは新ネスカフェを「香りがいい。コーヒー好きのためのコーヒーの存在は大切なことだが、初心者に向けた分かりやすいコーヒーも大事。これも歌舞伎と一緒」と高く評価。また、「現代は時間軸が昔とは違っている。手軽に、上質で、時間短縮できるものが好まれる。そうでないと誰も見向きもしない。コーヒー豆は、やっぱりコーヒー豆。差を出していくならば他ができないことに挑戦しなければ」とも。
新しいネスカフェ発売に当たり、同社ではぐるなびを通じて都内で働く20〜50代のシェフやソムリエなど117人に、新製品と大手コーヒーチェーンのレギュラーコーヒーを使ったブラインドテストを実施した。どちらのコーヒーを食後のコーヒーとして客に出したいかと尋ねたところ、61%が新ネスカフェを選んだという。また、記者発表会でも集まったメディア関係者を対象に同様のテストを実施。62%が新ネスカフェを選んだことについて、高岡社長は自信に満ちた笑みを浮かべていた。
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