気付けば納得!? カンパニーロゴに隠された意味:ビジネス英語の歩き方(2/3 ページ)
前回取り上げたスローガンと並んで各社が非常に力を入れているのが企業ロゴや製品ロゴ。その中には興味深い意味が隠されていることがよくあります。
サブリミナル効果を狙ったフェデックス
さてロゴに凝っていることでは筆頭格の会社が、世界中の宅配ビジネスに君臨するフェデックス。この会社は、もともとフェデラル エクスプレスといい、米国でもずいぶん田舎に属するアーカンソー州リトルロックで創業されました。米国でフェデラルという単語は、州ではなく全米規模のものを意味するニュアンスがあります。
米国には、元々は日本の郵便局の配達部門に似たUPS(もとはUnited Parcel Service)という巨大組織があり、1971年にフェデックスを立ち上げた創業者のフレッド・スミス氏は、United(米国では州をつなぐというニュアンスが、何となくあります)を凌駕(りょうが)する意気込みを込めて社名を作ったといいます。
そのフェデラル エクスプレス、その後めざましい拡大や他企業の買収を経て、今では社名もフェデックスと変えています。「全世界を網羅するにはFederalでは規模が小さすぎる、違うワードを」という判断もあったのかもしれません。
ロゴはをよく見るとEとxの間が矢印になっています。知る人ぞ知るサブリミナル(無意識の)効果といわれる仕掛けで、何となくスピード感を喚起する優れたデザインといわれています。
Amazonロゴに隠されている“野望”
最近オーナーのジェフ・ベゾス氏が個人のお金でワシントン・ポスト紙を買収することでも話題になったアマゾン(参照記事)。今や日本でもアマゾンで何でも買えるほど多くの商品を扱って、購入ボタンをクリックすると翌日には自宅の玄関に届いているのが当たり前と思っている人も多いのですが、もとは本のインターネット販売でした。1990年代の半ばにシアトル郊外で創業したときには、米国の出版界もお手並み拝見と高みの見物だったのですが、その威力を知るのには3年もかかりませんでした。
当時筆者はニューヨーク在住。英語の出版をする日本企業の現地法人で、毎日どうやって書店に本を注文してもらうかで四苦八苦していました。そんなある日アマゾンが登場。「当社のオンラインで本を売りたければ、こちらに表紙の写真、定価その他の情報をアップしなさい」という、ずいぶん上から目線の要請を受け取ったのです。始めは仕方なく担当者にやってもらっていたのですが、2年もすると「マスト」になりました。
さてロゴの矢印にご注目。aから右に伸びて、zを指して終わっています。つまりa to zなのです。英語でこれは端から端までを意味し、「何でも」とか「あらゆるもの」「すべて」を意味します。ジェフ・ベゾス氏は、本だけでなく、あらゆる商品を売ることを創業時から考えていたのです。同社のロゴには始めから何でも扱いますよというメッセージが込められていたのですね。
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