珍言連発の原辰徳監督は「名将」か、それとも「迷将」か?:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(3/3 ページ)
現役時代は「若大将」、監督になれば実績はすでに王、長嶋を超えている。にもかかわらず、名監督と認められないのが原辰徳という人物だ。なぜなのか?
筆者は断言する。原監督は間違いなく「名将」だ
2009年のWBCでも、こんな伝説を残している。サムライジャパンが決勝トーナメント進出を決め、試合会場となる米ロサンゼルスのドジャースタジアムに初めてやって来た原監督は世界のメディアを前に胸を張って、こう言った。
「みなさん、日本には『図書館』という一風変わった施設があります。私は――」
自身が少年時代、図書館でベーブ・ルース(「野球の神様」と称されるメジャーリーガー)に関する本を借りて熟読したことをアピールしたかったつもりが、珍言をそのまま同時通訳によって訳されると会見場は失笑に包まれてしまった。
図書館は日本だけでなく、米国をはじめ世界のあちこちにある。もちろん「一風変わった施設」でもない。米スポーツ専門局「ESPN」がサムライジャパンをWBC連覇へと導いた原監督について、その手腕を称える一方で「実にユニークな側面があることを忘れてはいけない」と評していたのが当時とても印象に残った。
とにかく原監督の珍言動は振り返れば、枚挙にいとまがない。しかし、こういう「ユニークな側面」があるからこそ、現代のプロ野球選手たちも彼に付いていくのではないだろうか。
「あのイチローが、原監督のことを『あんな面白い人、いないよ。WBCでは一緒に野球ができてとても良かったと思っているし、俺が、俺がと出しゃばり気味のボクら選手たちを、常に明るく熱い言葉でぐいぐい引っ張っていただいた』と絶賛していたんだ。
WBCでイチローは原監督の口ぐせである『オマエさん』という言葉をとても気に入っていて、優勝のシャンパンファイトでも『監督、あのフレーズ、お願いします!』と言っていた。原監督も笑顔で『オマエさんたち、よくやった!』と叫んで、それにこたえていたよ。
野球に対して厳しさばかりを追求するのではなく、どこかズッコケムードも持ち合わせているほうが、選手たちもホッと一息付ける安心感のようなものを持つことができる。おそらく原監督の魅力は、そういうところにあるのだろう」(原監督に近い関係者)
そう考えると、球界に長く在するカタブツな古参の人たちから理解を得るのは難しいかもしれない。だが、筆者は断言する。原監督は間違いなく「迷将」もとい「名将」だと――。
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