安藤美姫はどこへ行く?――韓国フィギュア界もラブコール:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(3/4 ページ)
ソチ五輪の代表の座を射止められず現役を引退したミキティこと安藤美姫さん。彼女はなぜ育児と選手生活の両立を目指したのか? 彼女に今、韓国からコーチ就任の声がかかっているという。
スケート連盟内部に残る安藤への嫌悪感
それでも安藤に対する嫌悪感は、彼女が引退した今も日本スケート連盟内部に根強く残っているようだ。理由はどうあれ安藤は2シーズンにわたって公式戦に出場せず、同連盟側から強化指定選手の打診があっても辞退し続けていたのは事実。それが突然テレビ番組の中で未婚による出産を明らかにして世間は大騒ぎとなったことで「浅田とフィギュア界を引っ張ってきた主役にしては余りにも行動が奔放(ほんぽう)過ぎる」と眉をひそめた同連盟幹部は1人や2人ではない。
引退後のプランについて「今後は指導者を目指す」と言う安藤にとって、こうした同連盟幹部たちのアレルギーは今後の道のりへの足かせとはならないのか。コーチになって教え子を育てたとしても「あの安藤の愛弟子」というレッテルを貼って毛嫌いする幹部が、また現れるかもしれない。そんな心配をしてしまうぐらいに同連盟にはカタブツな関係者たちが多いのである。
日本国内でコーチとして再出発することになっても、イバラの道を歩まなければならなくなる可能性は高い。だが、そんな中で安藤に秋波(しゅうは)を送っている国がある。それは何と、韓国――。複数の韓国スケート連盟幹部が「もし安藤が日本で息苦しさを感じるならば韓国でフィギュアのコーチに就任し、後進育成に力を貸してほしい」と同国でのコーチ就任を熱望しているというのだ。
韓国と日本の関係は今、竹島の領土問題をめぐって過去最悪と言われるほどに冷え込んでいる。しかも韓国女子フィギュアのトップ、キム・ヨナと日本の浅田真央はライバル同士。こうした背景から韓国スケート連盟の関係者の中にも日本人を毛嫌いする人物は数多い。
ところが「安藤だけは別」なのだという。これは一体どういうことなのか。アマチュアスポーツ界の事情に精通し、韓国スケート連盟とも昵懇(じっこん)の関係にあるA氏がこう明かした。
「これまでも安藤はプライベートで韓国を何度か訪れたり、キム・ヨナを『素晴らしく、尊敬すべきスケーター』と持ち上げる発言を繰り返したりしていた。安藤から見てヨナは年下。儒教文化の韓国では『年長者を敬う』のが常識と言われているが、年下のヨナに尊敬の念を持ち続けていた安藤の姿勢は『彼女こそ真の日本人だ』などと韓国国内のフィギュア関係者やファンの間で賞賛されている。浅田と違って安藤にはとても好意的な目を向けているのは、それが理由だ」
それにしても日本ではなく韓国でコーチ就任となれば、やはり抵抗はあるだろう。ましてや昨今の日韓関係は非常にナーバスな状態にあるだけに、仮に韓国フィギュア界からのラブコールを受け入れれば大きな波紋を呼ぶのは必至だ。
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