なぜ歯ブラシを買うのに迷うのか? 客の行動を分析して、分かったこと:仕事をしたら“客の迷い”が見えてきた(前編)(5/6 ページ)
お店の棚の前で「これにしようかな。いや、こっちにしようかな」と迷ったことがある人も多いだろう。そんな人の“迷い”を可視化するサービスが、2013年からスタートしている。お客の購買行動を分析することで、どんなことが見えてきたのだろうか。
基礎化粧品の売り場
土肥: 3Dセンサーを使って、お客の迷いが可視化されたわけですが、それによってどういったことが分かってきましたか?
深谷: お客がある商品を手にして、実際に購入した「接触購買率」を分析しています。例えば、乳液やスキンケアといった基礎化粧品の接触購買率は53%。日用品の中でその割合は低く、100人がさわっても50人ほどしか買っていません。日用品ではありませんが、ビールは90%を超えています。お客はビールを手にしたらどんどん買っていくんですよね。そこからどういったことが読み取れるのか。ビール売り場と基礎化粧品売り場は「違う」ということを認識して、それに対応した売り場をつくっていかなければいけません。
土肥: 基礎化粧品がもっと売れるように、POPなどで工夫しなければいけませんね。
深谷: でも多くのお店は、なかなかできていません。なぜなら、お客が迷っているというデータがないから、なんとなく商品を並べているだけのケースが多いんですよね。
基礎化粧品の接触購買率を詳しくみると、ドラッグストアでは50%を超えていますが、大手スーパーだと35%ほど。この数字から何が読み取れるかというと、大手スーパーに来たお客は、いろいろなモノを買っている。ついでに基礎化粧品を見ているものの、結局はドラッグストアで買う。
こうしたお客に対し、大手スーパーはどういった対応をしなければいけないのか。大手スーパーで基礎化粧品を購入している人は「ドラッグストアまで行って、買いたいとは思わない」「遠くのドラッグストアまで行きたくない」――そうした仮説が成り立つので、お客の中心は高齢層。そうすると、お年寄りに買いやすいように、“分かりやすく・探しやすく”しなければいけません。
土肥: なるほど。
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