日本のスーパーは遅れている? 客のデータを分析しなければいけない:仕事をしたら“客の迷い”が見えてきた(後編)(2/5 ページ)
3Dセンサーを使って、お客の購買行動を可視化する動きが出てきた。こうした情報を蓄積していくことで、今後はどんなビジネスが考えられるのだろうか。ビッグデータ分析を手掛けるミディーの深谷社長に話を聞いた。
土肥: お客の行動を分析することで、さまざまなことが見えてきたのですが、このサービスに“弱点”はあるのでしょうか? 例えば、向いていない商品とか。
深谷: ありますね。前編でもご紹介しましたが、ビールの接触購買率(お客がある商品を手にして、実際に購入した割合)は93%。この数字は非常に高く、ほとんどの人が“迷って”いない。ということは、ビールは分析する必要があまりないんですよね。
土肥: そんなことはないでしょう? ワタクシ、ビールを買うときに迷いますよ。「今日は『一番搾り』にしようかな。それとも『スーパードライ』しようかな」といった感じで。店頭にはたくさんの種類が並んでいるので、もうどれにしようかな……と。
深谷: でもその商品を手にしたら、買いますよね。
土肥: えっ、あ……そうかも。
深谷: つまり、ドイさんは頭の中で迷っているんですよ。このサービスでは、頭の中までは可視化できません。商品に触るまでの時間が長い場合は、売り場で商品を探すのに迷っている。商品を触ったあとの時間が長い場合は、比較検討しているかもしれない。これは“よい迷い”であって、商品が分かりにくく迷っているのは“悪い迷い”なんですよね。
「こっちの商品にしようかな。いや、あっちの商品にしようかな」といった感じで、迷っていることを数字にして分析することができる――これがこのサービスの強み。お客が商品を購入するまでの軌跡を可視化することに意味があるので、ビールのように「手にしたら買う」という商品は、このサービスにはあまり向いていません。
関連記事
- なぜ歯ブラシを買うのに迷うのか? 客の行動を分析して、分かったこと
お店の棚の前で「これにしようかな。いや、こっちにしようかな」と迷ったことがある人も多いだろう。そんな人の“迷い”を可視化するサービスが、2013年からスタートしている。お客の購買行動を分析することで、どんなことが見えてきたのだろうか。 - ローソンのコーヒーは誰が飲んでいる? データから見えてきたコト
「コーヒーはコンビニで買う」という人が増えてきているが、一体どんな人が購入しているのだろうか。ローソンのPontaカードを分析すれば「どういった人が何を買ったのか」が分かるので、担当者に直撃。男性20〜40代がよく飲んでいるのは……。 - なぜ人は駅で買い物をするのか? 潜在意識を分析した
何気なく歩いていて、ついつい買い物をしてしまった。こんな経験をしたことがある人も多いのでは。なぜ人は移動中に買い物をしてしまうのか。生活者の購買行動などを分析している「ジェイアール東日本企画 駅消費研究センター」の担当者に話を聞いた。 - なぜ人間は買い物をするのか? 人を動かすツボは18パターンある
人ってなぜ買い物をするのか?――そんなことを疑問に感じたことがある人は少ないだろう。何も考えずに買い物をしている……と思っているかもしれないが、実はあるツボを押され“動かされている”かもしれないのだ。 - なぜコンビニは人気のない「エッグタルト」を売り続けるのか
ローソンでスイーツの販売データを見せてもらった。それによると「エッグタルト」はあまり売れていないのに、店頭に並び続けている。人気のない商品は消えていくはずなのに、なぜ「エッグタルト」を売り続けるのか。 - ルーツは病院にあった? 今年46歳、ボンカレーの過去
1968年に発売された「ボンカレー」は、どのように開発されたのだろうか。製造元の大塚食品に聞いたところ、意外な答えが返ってきた。カレーが入っている袋を殺菌するために……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.