マー君の年俸22億円、ヤンキースの巧妙なる錬金術:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(1/4 ページ)
田中将大投手と7年総額158億円の大型契約を結んだニューヨーク・ヤンキース。なぜ、ヤンキースはいとも簡単に巨額な資金をねん出できるのか?
海の向こうでも旋風を巻き起こせるか。ヤンキースに入団した田中将大投手がフロリダ州タンパでキャンプインした。連日、日米の多くのメディアに囲まれ、その存在感を示している。メジャーリーグの名門球団と7年総額1億5500万ドル(約158億円)でサインし、初年度から年俸2200万ドル(約22億円)という超破格の契約を結んだことで、開幕を前に早くから注目の的だ。
それにしても驚きなのは、ヤンキースがこれだけのカネをいとも簡単にねん出できてしまうことである。いや、ヤンキースだけではない。田中の争奪戦に加わったカブスやドジャースなど複数のメジャー球団も結果的にヤンキースには及ばなかったものの「少なくとも総額1億ドル(102億円)以上の契約で話を進めようとしていた」という。
田中の年俸22億円は、日本球団の平均年俸総額に匹敵
これだけの契約資金をポンと用意できるメジャー球団。「日本のプロ野球と違って何かカラクリでもあるんじゃないのか」と疑念を抱く人はきっと多くいるに違いない。
実を言うと、メジャーリーグの球場命名権(ネーミングライツ)や看板などの球場広告費、スポンサー契約料は、日本とケタが違う。これらの収入を合わせ、多少の差はあれどもメジャーの大半の球団が、毎年2000万ドル(約20億円)前後をコンスタントに稼ぎ出す。
ちなみに、田中の今季年俸「22億円」は日本のプロ野球12球団のチーム平均年俸総額に匹敵する額。このように比較すると余計に目を丸くしてしまうが、特にヤンキースは「22億円」を簡単に凌駕(りょうが)する年間収入を前出の年間予約席を含めた入場料収入とスポンサー契約料、球場広告費によって得ている。
「ヤンキースタジアムにはネーミングライツがないものの球場広告費がべらぼうに高く、加えてヤンキースとのスポンサー契約料も他球団と比べて破格。デルタ航空やアディダス、アウディ、トヨタなどの大手スポンサー企業から得る収入は当然大きい。球場広告費と合わせた収入は、多いときに年間で1億ドル(約100億円)を超える」(メジャー関係者)
関連記事
- 楽天・田中将大の「10倍返し」――常に意識するのは『超向上心』
プロ野球史上3人目となる開幕15連勝を果たした楽天・田中将大投手。「全試合で全球種を完ぺきに投げ分ける」と高い評価を得ている今季のマー君に何があったのか? - 宮崎県 VS. 沖縄県、巨人の春季キャンプ地を巡る戦い
2月1日からプロ野球各球団の春季キャンプが始まった。人気球団・巨人のキャンプ地をめぐって、50年以上の伝統がある宮崎と多くの球団が集まる沖縄との間でしれつな戦いが起きている。 - 松坂大輔がどんなに落ちぶれても「メジャー」にこだわる3つの理由
2013年8月、メジャーリーガー・松坂大輔のニュースが久しぶりに話題となった。自ら3Aを退団し、登板機会を求めてニューヨーク・メッツへと移籍したのだ。 - メジャーリーグでMVP級の大活躍――上原浩治はなぜ自らを「雑草」と呼ぶのか?
メジャー5年目となった上原は、レッドソックスのクローザーとして圧倒的な信頼を勝ち得ている。チームはア・リーグ東地区を6年ぶりに制した。だが、海を渡るまでの野球人生は決してバラ色とは言い難かった。 - メジャー飛び級で日本野球界への退路を断たれた男の天国と地獄――田澤純一
「田澤ルール」というものをご存じだろうか。日本のドラフトを拒否してメジャーに挑戦した田澤投手は、帰国しても2年間は日本のプロ野球チームと契約できないのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.