どこが違うの? 『JR時刻表』と『JTB時刻表』:杉山淳一の時事日想(3/5 ページ)
書店で発売されている「時刻表」は数種類ある。そのうちの2冊、交通新聞社の『JR時刻表』とJTBパブリッシングの『JTB時刻表』は売り場で目立つ。判型も価格も同じ、掲載されている列車の時刻も同じ。そんな商品がどうして2種類も存在しているのだろうか。
カラー口絵で商品の差別化を図る
『JR時刻表』と『JTB時刻表』が、それぞれライバルに対してどんな差別化を図っているのか。まず巻頭のカラーページに力を入れている。ここはメインコンテンツの「時刻表データ」とは関係なく、各編集部が趣向を凝らした企画ページになっている。2014年3月号を比較してみよう。
『JR時刻表』のカラー口絵は9ページ。見開きで「JRグループダイヤ改正トピックス」を特集。最新型の北陸新幹線E7系をはじめ、新幹線車両の外観写真を5点使って、各新幹線のダイヤ変更を紹介。このほか、コラムで在来線も押さえる。JRグループのオフィシャル時刻表として、まずはJRのPRから入るというわけだ。次の見開きは新潟県の観光特集。鉄道の話題はなし。次は駅弁のコラム、鉄道路線ごとのグルメを扱う3ページの企画記事。ラストは谷川俊太郎氏の詩と諸井貴志氏の鉄道写真を組み合わせた。全体的に「鉄道好きな旅好き」へ訴求する。
『JTB時刻表』のカラー口絵は8ページ。鉄道ファン向けの押し出しが強い。見開きはE7系を詳しく紹介し、コラムでJR東日本の新幹線車両を網羅。さらに次の見開きもE7系で行く信州の鉄道の旅を特集。次の特集は近鉄特急で行く春の伊勢志摩。旅特集であっても鉄道をしっかり絡めていく。次は1ページで映画『銀の匙』のロケ地紹介。ラストは「乗り物情報局」として6件のニュースを掲載する。
どちらもメインコンテンツに対する「おまけ」の枠にとどまらず、読み応えのある内容になっている。
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