どこが違うの? 『JR時刻表』と『JTB時刻表』:杉山淳一の時事日想(4/5 ページ)
書店で発売されている「時刻表」は数種類ある。そのうちの2冊、交通新聞社の『JR時刻表』とJTBパブリッシングの『JTB時刻表』は売り場で目立つ。判型も価格も同じ、掲載されている列車の時刻も同じ。そんな商品がどうして2種類も存在しているのだろうか。
時刻表部分も同じに見えて全く違う
同じように見える時刻表データページにも各社の特徴がある。『JTB時刻表』は鉄道ファンを意識しているようで、前のほうにある新幹線と特急列車の掲載ページをよく見ると、すべての列車の使用車両形式が書かれている。『JR時刻表』も最新型車両など一部の列車について表記しているが、全列車ではない。また、鉄道ファン向けと言うより、設備の紹介という意味合いにとどまっているようだ。例えばN700系と表記すれば、ビジネスマンで新幹線に乗り慣れているなら、「各座席にコンセントがある車両だな」と分かる。
掲載路線の並び順も異なる。例えば『JR時刻表』も『JTB時刻表』も、在来線の最初のページは東海道線の東京―熱海で、上下分割して下りと上りを同時系列で乗せる。ここまでは同じだが、『JR時刻表』では次が湘南新宿ライン、相模線になる。『JTB時刻表』は支線に脇目も振らず、そのまま一気に東海道本線・山陽本線を載せ続けて小倉に至り、次からやっと関東の支線が始まる。
時刻の掲載部分も違う。『JR時刻表』は2色刷が最大のウリで、特急列車が赤文字で印刷されている。『JTB時刻表』は一色刷。ただし急行列車は太字、特急列車は太字に加えて右側に太い傍線が入る。急行列車が激減しているから見つけにくいけれど、三段階の列車種別を明示している。
ざっくりまとめると、『JR時刻表』はJR各社をまとめて掲載しようという意図があるようだ。JRグループ発足後に公式時刻表として創刊されたためだろう。『JTB時刻表』は、まだ在来線に長距離列車がたくさんあった国鉄時代からの構成を踏襲しつつ、少しずつ改良を重ねてきた、という印象だ。なにしろかつては『国鉄監修 交通公社の時刻表』という名前だった。
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