連載
タダ飯を食べたかった「ドリアン・ナカモト」――ビットコイン、悲しき大誤報:伊吹太歩の時事日想(3/5 ページ)
世界中で最もホットな話題の1つとなった「ビットコイン」。考案者とみられる人物を特定したというニューズウィーク誌のスクープ記事から、「誰でも分かるビットコイン騒動」を読み解く。
ドリアン氏の自宅にはメディアが殺到
だがこの記事が、物議を醸しているのだ。まず根拠の乏しさは否めない。実際に本物のナカモトとやり取りした人の証言をもとに、スクリプトの書き方、英語の使い方など、ドリアン氏と本物のナカモトの「類似性」をつなげようとするが、いずれも決定的な決め手に欠ける。
とはいえ、大々的に「ナカモトを発見!」と記事を出したのだから、記事は大きな話題になった。だが反応の多くは、記事に対して否定的なものが多い。というのも、ドリアン氏の自宅にはメディアが殺到する事態に発展したからだ。
ドリアン氏は自宅前の記者に取り囲まれ、「私はビットコインを発明していない。ちょっと待って、まずはタダのランチを食べたい。この人と出かける」と言い、AP通信社の記者の車に乗り込んで走り出した。AP通信のオフィスで、寿司を食べながらご満悦のドリアン氏の映像も配信されている。
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