鮮魚流通業界のAmazonを目指す、八面六臂の挑戦:これからの働き方、新時代のリーダー(2/3 ページ)
「ITを使って、日本の魚食文化を活性化する。もっとおいしい魚を食べてほしい」――鮮魚流通ベンチャー、八面六臂(はちめんろっぴ)の松田雅也社長の思いだ。
マッチング精度100%、データから仕入れを予測する
松田: もう1つ、ITを使うことで効率化できるのが「管理力」です。日々の発注履歴というデータを分析することで、それぞれの店舗の需要が先読みできます。
既存のやり方では、1. 店舗からの発注を受けて、2. 仕入れて、3. 納品しますが、八面六臂の場合、店舗からの受注前に予測に基づいて魚を最適な産地から仕入れてありますので、リードタイムを1日短縮できます。
岡田: へー、それはすごい。でも、鮮魚でそれをやると需給が合わないことでロスが出ると思うのですが?
松田: その正確性を上げることがキモですよね。現時点で、マッチング精度は100%です。私たちは中間流通業者ですから、この分野のプロとして社員を教育しています。IT業界でもっとも魚の目利きができる集団だと思いますよ。
岡田: 実は、さっきからオフィスの一角にあるモニターだらけの部屋が気になっているんですよね。あそこで受発注業務を行っているわけですね?
松田: ディーリングルームですね。アプリからの発注データがすべて集約されています。また、日本各地の天候や海水温データなどもここでチェックしています。水産物は定価というものがありませんので、集めたデータから最適価格で仕入れられるところを探します。例えば、「この週末、シケそうだな」となれば、店舗に対して「週末は水揚げ量が減りそうです。注文はお早めに」といった提案もします。
鮮魚流通の場合、シュリンクしているとはいえ、中間業者から店舗までの「ラスト1マイル」のところだけで、年間約3兆円という大きな市場が存在しています。八面六臂としては、まずは2016年までにこの0.1%に当たる年商30億円を目指します。ゆくゆくは2020年までに10%(3000億円)を獲るという目標も掲げています。
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