ビジネスモデルは必ず&(アンド)の発想でつくる:世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる(2/2 ページ)
ビジネスモデルを考えるときは、必ず「一石二鳥」の形で、相手にとって複数のメリットを提示できるかどうかが大切です。人は「ありがとう」と思ったときにお金を払ってくれるからです。
「ありがとう」と言ってもらうために
また、マネタイズという側面で一石二鳥モデルを考えるにあたって、一番大切なのは関係している人たちにどうしたら「ありがとう」と言ってもらえるかを考えることに尽きます。人は「ありがとう」と思ったときに、お金を払ってくれる。払える金額は、人や組織によってそれぞれでも「ありがとう」をたくさん集めれば、いつかはそれなりにまとまった金額になるはずです。
子どもにサイエンスを伝えることが必要だということに関しては、おそらく全人類が賛成してくれます。それに対して、一番パッションがあったのがリバネスだったから、「この指とまれ」でお金が集まってくるのです。今流行している「クラウドファンディング」に近いと言えるかもしれません。
出前実験教室が終わると、関わった人たちは感動して「ありがとう」と言ってくれます。学校の先生は「リバネスのおかげで子どもたちに最先端の科学を伝えられた。ありがとう」。学校の校長は「出前実験教室のおかげで入学したいという子が増えた。ありがとう」。企業の研究者は「子どもたちがサイエンスを面白いと言ってくれた。ありがとう」。こうして、さまざまな方向から「ありがとう」が集まってくるのです。
その「ありがとう」と一緒に、いろんな人たちから少しずつお金をいただくのです。リバネスは、その全員がトクをするしくみの真ん中で誰よりも強いパッションを持って動いているのです。
お金だけでなく、ちゃんと感謝の気持ちが集まるということが、僕たちのビジネスモデルの根幹にある何よりも大切なファクターです。
(次回は「短期的な利益獲得と長期的な価値の増加」について)
著者プロフィール:
丸幸弘(まる・ゆきひろ)
株式会社リバネス代表取締役CEO。1978年神奈川県横浜市生まれ。
東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。博士(農学)。
リバネスを理工系大学院生のみで2002年に設立。日本初の民間企業による先端科学実験教室を開始する。中高生に最先端科学を伝える取組みとしての「出前実験授業」を中心に200以上のプロジェクトを同時進行させる。2011年、店産店消の植物工場で「グッドデザイン賞2011ビジネスソリューション部門」を受賞。
2012年12月に東証マザーズに上場した株式会社ユーグレナの技術顧問や、小学生が創業したケミストリー・クエスト株式会社、孤独を解消するロボットを作る株式会社オリィ研究所、日本初の遺伝子診断ビジネスを行なう株式会社ジーンクエストなど、15社以上のベンチャーの立ち上げに携わるイノベーター。
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