“リクルート流”とは何か? 中国でそれが通じた瞬間:新連載・上阪徹が探る、リクルートのリアル(2/6 ページ)
幅広い領域で次々とビジネスを拡大しているリクルート。今や売り上げは1兆円以上に。今のリクルートって、いったいどうなっているのか。第一線で活躍する“エース”たちから、今のリクルートのリアルを探る。
入社まだ5年目の28歳のときに、中国へ
この20年でリクルートが最も大きく変わった点。そのひとつが、間違いなくグローバル化である。実際、連結営業収益の2割、約2100億円は海外事業による。リクルートの海外展開は、米国、カナダ、英国、オーストラリア、アイルランド、中国、香港、台湾、シンガポール、インド、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイと15カ国に。海外拠点はすでに484拠点にのぼる。中でも最も大きな事業が、人材関連事業だ。
2010年から2013年にかけて、米国の人材派遣会社を立て続けに大型買収したことが話題になったが(リクルートは現在、世界第5位の人材派遣会社になっている)、海外における人材関連事業のスタートは中国。2006年に中国最大の求人Webサイト「前程無憂」を運営する「51job」に出資することから始まった。この年、中国に赴任したのが、舘氏だ。当時、入社まだ5年目の28歳。海外にも中国にもまったく関わりはなかったというが、それから8年。今や中国で200人、アジア全域で300人の従業員を率いる立場にある。
舘氏は2002年、慶應義塾大学を卒業している。もともと30歳で起業したいと考え、それができる筋力をつけられる会社を探したという。選択肢として残ったのが、リクルートと総合商社。最終的に、早くに営業の最前線に立てること、面接で人間の幅を感じたことが決め手になった。希望は営業職。内定者時代、人材系で首都圏の新規営業を強硬に希望したらしい。
「でも、研修で行われた名刺獲得のための中小企業への飛び込みキャンペーンは、ビリから2番目だったんですけど(笑)。やっぱり足が動かなくて」
ところが営業配属後、この“飛び込み大会”で名刺をもらった会社から初受注を得る。小さな広告。制作者には頼まず、自分でコピーを書いた。3案考え、持って行った。
「それで選んでもらった広告に反応があって人が採れたんですね。出稿してくださった社長にも喜んでもらえて。このとき、企業と個人とをつなぐマッチングメディアの仕事の醍醐味を知ったんです」
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