連載
横浜発〜秩父行き「メトロレッドアロー号」は実現するか:杉山淳一の時事日想(4/4 ページ)
鉄道ビジネスにおいて、いまもっともホットな話題が「西武HDの再上場」。4月23日と予想される西武HDの株式公開は、あしかけ10年の西武鉄道再建の総仕上げとなる。その景気付けだろうか、西武鉄道の看板列車「レッドアロー号」の横浜方面乗り入れ案が浮上した。
他社も「意外な特急乗り入れ」が実現している例を考えると……
西武鉄道から東急への特急乗り入れに関するアプローチは、近鉄特急の阪神電鉄乗り入れの例と似ている。阪神なんば線が難波駅へ延伸し、近鉄と直通運転を開始したときから、近鉄は阪神のターミナルである三宮駅の乗り入れに前向きだった。それがいま、団体貸し切り列車のかたちで実現している。
さらにさかのぼれば、東武鉄道の日光方面行きスペーシア号もJR東日本に乗り入れている。栗橋駅でJR東日本の東北本線と東武日光線の線路をつなぎ、JR東日本も特急列車を日光へ乗り入れることで、相互直通を実現した。かつての国鉄と東武鉄道が日光へ向けての集客合戦をしていた経緯を考えると、これはかなり思い切った施策だった。
こうした「まさか」という列車が実現する。これも鉄道路線、列車の価値向上という施策の重要性が高まっているからだ。
かつて伊豆の観光開発などでライバル関係だった西武鉄道と東急電鉄が、東京メトロ副都心線を介してつながった。これも感慨深いできごとであった。西武特急の東急線乗り入れも、まんざら絵空事ではないはずだ。実現を強く期待したい。
関連記事
- 「杉山淳一の時事日想」バックナンバー
鉄道の話題を中心に、公共交通と社会について考える杉山淳一氏のコラム「時事日想」。毎週金曜日掲載。 - 杉山淳一の+R Style:第1鉄 西武特急レッドアロー号で芝桜に会いに行く(2009年)
肉食系鉄道ライター・杉山淳一が贈る、旅と鉄道がテーマの「+R Style」。日々の生活に+Railwayするだけで、毎日がぐっと楽しくなる――そんなコンセプトの新連載、第1回は西武鉄道に乗って、今が見頃の芝桜を見にいきます。 - 杉山淳一の +R Style:第43鉄 「元レッドアロー」、アルペンルートを走る――富山地方鉄道(2010年)
子どものころ、西武鉄道の新型特急列車5000系レッドアローが憧れだった。デビューから40年が経った5000系は、今、富山地方鉄道で立山黒部アルペンルートの一翼を担っている。懐かしの車両から最新のLRTまで富山地方鉄道で活躍するさまざまな車両を紹介しよう。 - “誰得”なの? 西武鉄道の「赤字線切り」が始まっている
旧国鉄の路線を引き継いだJR旅客各社は赤字ローカル線も継承している。一方、大手私鉄は創業当初より沿線開発との相乗効果を得ており、もうかっている印象がある。しかし実態は厳しく、「赤字線切り」はすでに始まっている。 - メイドトレインでまったりと生ぬるく聖地巡礼をしてきました
1月14日、西武鉄道の特急「レッドアロー」号をメイドカフェに見立てた「メイドトレイン」が池袋−西武秩父間で運行された。使われる車両が「レッドアロークラシック」だというキーワードだけで参加を決めてしまった、アラフォーテツの困惑と感動をお伝えします。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.